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和尚さんの法話 「死者と仏事」

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そして用件が済んだので、ちょっとお伺いしますが、お宅の先祖は由緒のある先祖と違いますかと聞いたわけです。

すると、家は源氏とか平家の家系ですと親が自慢していました。

というわけです。


ところが、どうもお勤めをしてもらっていない。

じめっとした感じがするのです、陰気な。それでご先祖のことはどうしていますかと聞くと、それはもう全くしていませんというわけです。

親の代まではよかったんですが、ところがその親が死んでからは家が没落してしまったのです。

私と兄がいますが二人ともうだつが上らないで先祖のことどころではございませんので。というわけです。

仏壇はありますやろ。

そりゃもう親の代まではよかったので大きな仏壇はあります。

ですが仏壇は押入れへ突っ込んだままで盆も正月も開けたことがございません。

それはいけませんぞと。

いうことで、この話をして、七分の六の功徳はあなたが受けるわけですと。

困ったとこほどしたらいいんですよ、しなきゃいかんのですよと。

いいときよりも困ったときのほうがし難いことをするのだから功徳も大きくなるのです。

お布施の話をしますが、大金持ちの人がありますね、何億というようなお金を平気で使えるような人。

ところが一万円というお金をよほどの苦労をしなけりゃ使えないという人もあります。

そうすると、大金持ちの人が、仏事のことに百万円使った。

そしてお金の無い人が一万円を使ったら明日の食べる物にも困るという人が一万円を出したとしますと、その人の功徳は百万円を出した人の功徳よりも大きいのです。

代価と違いますから、だからその人の境遇によって金額は同じでも功徳が変わってくるのです。

出し難ければ出し難いほど功徳が大きいわけです。

ありがたいことですよね。

そういうことになってあるのです、仏教では。

それを融通というのです。

融通というのは、そういうことなんです。