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海竜王の宮 深雪  虐殺6

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 九弦が先触れして現状の報告をしてくれた。左目を完全に潰されていることと、シユウの毒が、まず問題だった。霊水は、滾々と湧き出しているものの大量ではない。先触れに持たせたのも、抱えられる瓶一つ分だ。すぐに上元が手配して、霊水を汲み上げさせているが、必要な量は、大きな瓶で五つは必要になる。
「湯殿一杯に・・・ということは、五日はかかりましょう、西王母様。」
 一日で汲み出せるのは、大きな瓶ひとつが精一杯だ。そして、運ぶにも力が必要だ。
「運ぶほうは、我が手勢にて、どうにかなりましょう。五日後に私が責任を持って運びます。」
 戦闘部隊を仕切っている九弦が運ぶと言う。その間、謡池の警護が手薄になるが、まあ、ここに攻めてくるバカは少ないから、どうにかなる。しかし、青麒麟が、それなら我々が手を貸しましょう、と、名乗りをあげた。
「九弦様、我々が運搬は手伝います。力のあるのを呼び寄せておきます。」
「青飛、麟ではありませんよ? 」
 青麒麟は、過去、転生した西王母の義理の息子と会ったことはある。ただ一度だけだったが、初めて転生した姿だったから、色濃く、その仙人の心を残していた。少し話しただけだか、とても心根の美しい人間だった。だから、青麒麟も知り合いと言っても過言ではない。その子供だというなら、一にも二もなく助力したいと思う。先代の黒麒麟と白麒麟は顔を合わせたそうだから、自分も顔は合わせておきたいのだ。
「わかっておりますよ? 九弦様。何、これから、小竜とは長く付き合うことになるのです。とりあえず、怪我を治してくれねば、話も出来ません。」
 人間と深く関わることはできないが、竜なら問題はない。これから、同じように永い時間を生きていくのだから、友人になれるだろうし、かの仙人の片鱗があるのかないのかも確かめたい。
「将来、ああなるのかしらね? 九弦。」
「あそこまで、ボンクラにはならないでしょうよ、上元。」
「あれはボンクラというよりは、変わりものと言うほうがよろしいのではありませんか? ふたりとも。 一応、頭は良かったのですしね。 ただ、その使い方は覚えませんでしたけど。」
 謡池の最高幹部たちは、ひでぇーと青麒麟は内心でツッコミだ。確かに、かなり浮世離れした仙人だったが、青飛には優しくて情のある仙人だった。物の本質を見極めることにも長けていたと思う。先代の黒麒麟に最初から懐いていたというのだから、黒麒麟の本質を見抜いていたとしか思えないからだ。

 実際、数百年して水晶宮の主人となった深雪が、まさに、かの仙人と似たような性質だったので、みな、さすが、あれの子だ、と、納得させられたのだが。