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和尚さんの法話 「お地蔵さま」

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が、時間というものはないんですね、物事が変化するから時間ということを言いますが、変化し続けるんだ、だから時間というものはないんだと。

だから例え時間が尽きようとも、という意味ですね。
尽未来際ともいいますね、未来の際が尽きるまで。
罪の苦がある者は次ぎから次ぎから地獄へ落ちていく。
そういう者を全部、私は救います。という請願をたてたのです。



このお話は、お釈迦様と文殊菩薩が話してるのです。

お経によっては、お釈迦様と、阿難とか、観自在菩薩とか、一人か二人の方の名前を呼んで話していますね。ここでは文殊菩薩と話ているわけです。

其のときの、無毒という鬼は、地獄の鬼の仕事が終わって、今はダイシュウ菩薩と成っているのです。

そして、其のときの聖女とは是、地蔵菩薩のことである。

こういうふうにお地蔵さんという方は、仏教はそうですが、初めから仏と違うのですね。
そういう過程を辿ってきて、そして菩薩に成り仏に成るのです。

ですからお地蔵さんもかつては女性であったのです。
ですからお地蔵さんは、安産地蔵というのがよくありますね、それは自分も女性であったときにお産の苦しみも経験しているから、そういう人は、願うなら助けてやろうというので安産地蔵と、いうわけです。

安産地蔵とい名前でなくても、お地蔵さんなら皆、安産のご誓願を持ってるわけです。
そういうことで、我々には自分の前世というのがあるわけですよ。

お地蔵さんは、或る子供であって、ちょうどそのときに或る仏さんと一緒に生まれ合わせて、その仏さんが金々満々の神々しいお姿をしているというので、その子供が、まんまんちゃん、あなたは立派なお姿をしていますねえ、と言うんですね。

そんなお姿に成るのはどうしたらよろしいのでしょうかと、言いますと。
すると仏さんは、そうか、おまえも私のように成りたかったら、困った人を助けてあげなさい。

ああ、そうですか、僕はそうしますと。そういう少年時代もあったわけです。
其のときの少年というのは、今の地蔵菩薩である。というお経もあるんです。

もうひとつご紹介をしますと。過去無量阿曽祇劫の昔に清浄蓮華目如来という如来様があったという。
その仏様の時代に一人の羅漢があった。

その羅漢さんが絶えず衆生を救いに、托鉢をして回っていたというのですね。
其のときに一人の女性があって、名前を光目(こうもく)という。

その光目という女性が、羅漢さんが托鉢に来たのでお供養をしたんです。

それで羅漢さんは、なにか願い事はないかと聞くわけですね。
で、光目は、私の母は命日には必ず供養をして勤めているけれども、私の母は何処に行ってるのか分かりません。

では私が禅定に入って教えてやるといって、母が今何処にいるか調べてくれるわけです。

今の禅はそういうことは言わないですが、本当の禅だったらそういう通力があるんですよ。

で、その阿羅漢がお母さんの生まれたところを調べてくれたんです。
光目の母は、極大地獄の悪趣に落ちて苦しみを受けている。
あなたの母はいったいこの世で何をしたのかと問うわけですね。
地獄に落ちて大変な苦しみを受けているぞと。
光目は、私の母は生きた亀をそのまま食べた。

今でもういうのをテレビで見ますけど、魚を生きたまま食べていますね、こういうのはよくないようですね。
そして生きた魚の卵を抜いて炒って食べたというのです。
そういうことは数えられないほどあるというのです。
どうしたら救って頂けるでしょうか。

阿羅漢は哀れに思い、光目に手段を教えてくれるんです。
一所懸命に清浄蓮華目如来を念じ、兼ねてそのお姿を描くとか、彫るとかしなさいと。

それは自分が出来なくてもいいんですよ、お金を出したら描いてくれるし彫ってくれますから。そうすると母のためにもなるし、あなたのためにもなりますからと。
すぐに光目は仏様のお姿をお作りして、拝んでいたら或る夜に夢を見るのです。

その夢に清浄蓮華目如来様が金々満々に現れて神々しい光を放って、そして光目に告げる。
汝の母は近いうちにおまえの家に生まれる。

この光目の家は非常に大きな家だったんですね。

そして下男下女が使えていたわけです。その子供として生まれてくるというのです。
そしてその子が自ら寒さや暑さが分かるようになる年頃になれば自ら言うであろうと。

それからしばらくして、家内の召使に子供が生まれたんです。
そして仏様が告げたとうりに、子は汝の母なり、久しく黒暗地獄へ行ってました。
汝と死に別れた後に地獄に落ちていた。

ところが汝が私のために仏様に一所懸命に供養をしてくれたその功徳によって、こうして人間に生まれてくることができました。

ですが、召使の子として生まれ、また命も短い。
十三歳まで生きるが、十三歳になったらまた死んで、まだ業が残ってるから悪道へ落ちる。

だから何とかして私に方便をもって、たすけて下さい。と、こう言うたんです。

この話を聞いて光目は、これは私の母に違いないと思った。

光目は泣きながら、その子に、あなたが私の本当の母ならばどうしてそういう地獄へ行ったか分かるでしょう。

どうしてあなたは地獄へ落ちたんですか。

それは殺生の業と、人をののしった業と、この二つの業を持って地獄へ落ちました。

ところがあなたの供養が無かったら、私は未だ地獄から解脱することが出来なかったのです。

しかも、まだその業が残ってます。
いったんは生まれてきたけれども、また地獄へ行ってその業を果たさなければならない。

光目はその子に、地獄はどういう攻めを受けるのですか、と問う。

とても言葉では説明ができません。光目は泣いて空に向かって言いました。
どうぞ我が母は十三で死んでも仕方がないが、どうぞ地獄にだけは落ちないように願いたいと祈るのです。

若し、我が母が三途(地獄、餓鬼、畜生)のようなところへ永久に落ちないようにして頂けるならば、将来より後に清浄蓮華目如来様に対して、仏様の前で誓います。

地獄、餓鬼、畜生の地獄へ落ちた罪の人を私は皆救いとります。
その罪業の者が皆仏に成った最後に、私は正覚をとります。

正覚というのは、仏様の本当の悟りという意味です。

それまでに悟りはいろいろありますが、本当の悟りとは、仏様の悟りをいうのです。

それを正覚といいます。

ですから、それまでのものは仮のものですよね、仏に成るということを正覚というのです。


清浄蓮華目如来が光目に告げる。
汝の母は十三歳にして亡くなるが、これはもう業決定しているのでどうしようもない。

次に生まれてきたときは、宗教家になり、寿命は百歳になる。
次にこの百歳の寿命が尽きて死んで、後に苦の無い世界に生まれる。
そして今度は寿命の数えることのできない寿命になる。
そして衆生を済度することにより、仏果を得る。
つまり仏に成るということです。

そして更に多くの衆生を済度する。此のときの光目とは、地蔵菩薩此れなり。

この光目、地蔵菩薩は、なんでこんな業の深い母の子供に生まれてくるのかといいますと、済度するために、わざわざ生まれてくるんですね。