海竜王の宮 深雪 虐殺3
「もちろん、そうだけど。俺のことを知っているモノは少ないから、大丈夫。一姉に、なんとかしてもらう。」
たぶん、三兄たちを全員跳ばしたら、自分は力が尽きるだろう。眠り込んでしまったら、そこからは誰かに搬送してもらわなければならない。華梨は好戦的だ。逃げずに立ち向かってしまうだろう。それでは意味がないのだ。三兄が捕縛されたことは、竜族にも知られないほうがいい。だから、こっそりと戻って来なくてはならない。派手に衝突しては、それができなくなる。だから、竜族の領域ギリギリで黄龍に待っていてもらえば、そこでシユウも追撃は諦めるだろうと、深雪は予想している。それでも止まらなかったら、そこで殲滅させる。あまりやりたくはないが、それも考えには入っている。
しみじみと、人間界の祖父にビジネスの基本を叩き込んでもらって、よかったと感謝した。ビジネスの戦略も、こういう場合も、それほど違いがあるわけではない。いかに支出するものを抑えて利益を得るか、という基本があればこそ、深雪でも戦略が建てられるのだ。
作品名:海竜王の宮 深雪 虐殺3 作家名:篠義