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でんでろ3
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口は幸いのもと〈第1話 バスの旅〉(地味に改稿)

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「はん? いやよ! 誰が、あんたみたいな、キモダサオタクの中年中二病男に頭なんか下げなきゃならないのよ? だいたい超能力に頼り切って口先だけで生きてっから人生詰みゲーになるんでしょーがこのハゲ! 男なら拳で語りなさいよ!」
「な、なんだと、このアマ。いいだろう。上等だ。やってやらあ。外へ出ろ!」
次の瞬間、2人は車外にいた。

 バスが炎に包まれるより一瞬速く、まーこは運転手に飛びつき、押し倒すと、その上に覆い被さり、何かを言ったが、バスの燃料タンクに火が引火する音で、何を言ったかは、よほど近くにいた者にしか聞き取れなかった。
 炎が、ほんの少しだが落ち着いたとき、運転手はまーこを抱きかかえたまま、ゆっくり立ち上がると、かぶっていた帽子をアスファルトに叩きつけて言った。
「何なんだよ。『運転手さんは無事』って? 言ったろう? お前の言霊は、俺には効かないって。学習しろよ。言霊ってのはな、こうやって使うんだよ。『この事件では、死者もけが人も出ない』……じゃあな、自首して来らぁ。そんな顔すんな。なぁに、そんなに、重い罪にはならない。……俺の言霊を信じろ。あばよ」

 まーこにとって、“始まり”の事件であった。