永遠の冬休みその後
春休み初日、私は友達と遊びに10時に家を出た。兄の竜樹は春休み初日から夜更かしし、まだ寝ている。まったくだらしない兄である。
「美羽ー!!!なんで俺を起こさなかった!!??」
竜樹は階段から下りてきて、ドアを開けようとした私に、怒鳴りつける。しかも竜樹の頭は寝癖で面白いことになってる。私は笑うのをこらえながら話す。
「い、いや…ププっ…あんたが…ぷっ!起きな…クス…かったから…でしょ…プププっ」
「うるせー!!俺はちゃんと言ったかんな?9時に起こせって!なのに…おい!美羽!お前どこ行こうとしてんだー!」
私は友達と11時にパルコなので、竜樹にかまってると遅れてしまう。なので私は、話途中の竜樹を無視し、出かける。
ここからパルコまで約1時間かかるので、10時にはここを出ないといけない。しかもバスが1時間に2~3本しかないので、私は乗り遅れたら絶対遅れる。
「ちょっといいかな?」
私はバス停に向かうと知らないおじさんが私に話しかけてくる。そのおじさんは春だって言うのに、黒いコートに顔を隠すほどのマフラーを巻いている。
私はまだバスが来ないのを確認し、おじさんの話を聞く。
するとそのおじさんはコートの中から、一枚の地図を取り出した。
「いや~悪いね。ところでえ~と」
と言い、おじさんは私が行くはずのパルコを指差した。
「ここに行くにはどうすればいいかな?」
「あぁ、ならこれから来るバスにに乗り、終点まで行き、それから●×線の電車に乗り、●××駅で降りてください、で、北口に降りたら目の前にあります」
「いや~助かったよ。ありがとう、お礼に…」
おじさんはコートの中から、飴を取り出す。と、私にくれた。しかも二つ、多分もう一個は自分用だと思うが、もらったものを返すのはなんか気が引ける。なのでそのままもらうことにした。もうひとつは竜樹にあげるとするかな?
と考えている間、バスが来た。
私はバスに乗ると目の前に、さっきのおじさんが座った。話しかけてくると思ったが、なにやらメールしている。私はわざとではないが、ちょっとだけ内容が見えてしまった。
―――例の女の子に飴を渡した―――
とそう書いてあった。
間一髪私は飴を開けようとしていたので、すぐ飴をポケットにしまった。