いらっしゃいませ日記
…落としてる単位は無し、と。
学校に着き、掲示板を確かめる。
授業変更や連絡事項、呼び出し等、学内のすべての連絡がこの掲示板を使って行われるため、めんどくさいがここにだけは来なければならない。
掲示板は学内のメイン通りに設置されているため、授業が終わったはずのこの時間でも、結構な人が通行している。
日課である確認も終わり帰ろうとすると、掲示板の一画にあるものを見つけた。
*アルバイト募集コーナー*
普段自分はゲームをしたりパソコンを触ったり、けっして真面目とは言えない生活を送ってる。
仕送りだってパチンコに消えている。
このままではダメなことくらい自覚している。
これは社会勉強のいい機会ではないか?
普段は目にすることのない求人リストだが、この日はなぜか目にとまった。
家庭教師
自分にそんな頭がないことくらい知っている。
コンビニ店員
時給安い。要考察。
スーパーレジ打ち
お金をメインに扱うのは気が引ける。
こうして見てみると、アルバイトってのもなかなか難しい。
種類は多くても、これだと思えるものが見つからない。
同級生でアルバイトをしている人が、急に大人に思えてくる。
眺めること数分、ふと一枚の募集用紙が目に留まる。
【居酒屋スタッフ募集】
店舗名:古今東西 白山神社前店
内容:ホール・キッチンスタッフ
時給:950円
時間:18:30~
賄い有り
とても楽しいお店です。
私たちと一緒に働きましょう。
…なるほど居酒屋ね。
時給もそれなりに高いし、稼げると聞いたこともある。気がする。
時間も授業とかぶっていない上、勤務地もさほど遠くない。
…よし、ここにしよう。
一度決めてしまうと、なぜか既に働いているような気分になるから不思議である。
ホールで料理を運び、お客さんと談笑する自分。
キッチンで美味しそうな料理を作り、技術を磨く自分。
…うん、いいね。
早速お店の電話番号にかけてみる。
rrrrrr、rrrrrr、
「お電話ありがとうございます。古今東西 白山神社前店です。」
「あ、あの、アルバイト募集の張り紙を見て電話したんですけど、まだ募集してますか?」
「えぇ、募集してますよ。アルバイト希望ですか?」
「はい。面接とかってしてもらえますか?」
「んー、じゃああさっての昼の3時にお店に来れる?
写真付きの履歴書書いてきてね。」
「あ、分かりました。ありがとうございます。失礼します。」
…電話って緊張するね、いやはや。
何はともあれ面接してもらえることになった。
作品名:いらっしゃいませ日記 作家名:うた