悪夢のダイエット教室
◯ダイエット専門ジム[D]トレーニングルーム
真っ白な教室の中にあるのは体重計
そこには10人ほどの女性が並んで次々と体重を計っている…カヤ子も一番後ろに並ぶ。
係員「53.43kg…49.34kg…59.54kg…69.12kg…」
計り終わった女性は別の係員から紙を受け取っている
体重と目標体重が書いてある
テロップ 「1日目」
部屋にウォーキングマシンが持ち込まれる
持ち込まれたランニングマシンで走りだす女性たち
時計は時を刻み、段々と参加者たちに汗が吹き出てくる
ひとりの女性が脱落してしまうと係員が現れて彼女を別の部屋に連れて行く
女性「やめて!お願い…少しだけ休憩がしたいの…た、助けて…ねぇ、お願いよ」
その部屋からはまだ叫び声がしているがしばらくするとピタリと止む
…恐ろしくなりまわりを見ると黙々と走っている。
時計がまた時間を刻んでいる。
係員が笛をならすと全員ランニングマシーンから降りストレッチをしている。
× × × × ×
係員「52.13kg…53.14kg…49.13kg…」
カヤ子の前の人は「超過」と書かれた紙が貼ってあるドアの向こうへと消えていく。
そして、カヤ子は目標達成し別の部屋へ行こうとすると
先ほどの部屋から叫び声が
◯ダイエット専門ジム[D]休憩室
テーブルの上にはサプリメントと水が置かれている
みんなそれを大事そうに飲んでいる。
カヤ子「あの、、、ここはランニング以外の運動って無いんですか?」
と隣の女性に聞く
女性「例えば?」
カヤ子「えっと…エアロビクスとか、水泳とか…」
女性「あなた、運動がしたくてここにきたの?」
カヤ子「え?」
女性「痩せたいだけでしょ?」
と言うと、また係員の笛の音がなる
◯ダイエット専門ジム[D]トレーニングルーム
ランニングの続き、無表情だ
脱落するとひきづって別室へと移す。
また叫び声がして…緊張が走る。
気の抜けていたカヤ子も気を持ち直して走りだす
◯ダイエット専門ジム[D]食堂
ペースト状の食事をスプーンで食べている
全員無言なので、食器の音が響き渡っている
カヤ子も疲れきっている様子。
◯ダイエット専門ジム[D]寝室
二段ベッドの相部屋で、上の方からこっそり食べている音が聞こえる
テロップ 「2日目」
◯ダイエット専門ジム[D]トレーニングルーム
また体重計の列に並んでいるカヤ子
係員「46.12kg…」
そして、紙を貰って目標体重を見る
体重が前日よりオーバーしている人がひとりいるのを係員が見つける、相部屋だった女性だ
女性「そんな馬鹿な事あるわけ無いでしょ!きっと体重計が壊れてるのよ」
と暴れだすが、スタンガンを取り出して無理やり黙らせる
そして連れだされた部屋の奥から声にならぬ叫び声がしたかと思うと静かになる…
× × × × ×
ランニングマシーンに乗り走りだす。
カヤ子「すっすっ、はー、すっすっ、はー、すっすっ、はー、」
と呼吸をしっかり作っていく
しかし、段々と気が遠くなっていき倒れそうになる…
係員の笛がなる
× × × × ×
体重計にのり体重を測る…お腹がなる
◯ダイエットスクール[D]食堂
カヤ子は流しこむように一気に食べてしまうが
隣の女性が食事を残してるのをみて、不安そうな顔になる。
そして、一人の女性が急に立ち上がり、
女性「…もうこんな所辞めてやるわ」
とでていこうとするがドアも窓も開かない…
女性「なんなのよ…出しなさいよ!出さないと訴えるわよ」
とガラスを叩くが割れる気配もない。
スピーカーからノイズがきこえたかと思うと声が響く
男性の声「契約書 第23項 目標体重達成まで、教室内でのルールに準じた生活を送る事……以上」
しかし、そんなのお構いなしで暴れている
しばらくすると係員が現れて、彼女を釣れだしていった…
叫び声がしているが、一瞬の鈍い音とともに静になる…
◯ダイエットスクール[D]寝室
二段ベッドの上の階は誰も居ない。
カヤ子のお腹の音が静かな部屋の中で響き渡る…
テロップ「10日目・最終日」
◯ダイエットスクール[D]トレーニングルーム
体重と目標体重をみてホッとするカヤ子…だいぶ痩せているようにみえる。
× × × × ×
いつものようにランニングマシーンに乗って走っている
× × × × ×
体重を測っているが、目標をオーバーしてしまう
すると、係員が現れて別室に連れて行かれてしまう…
カヤ子「嘘よ…絶対ウソだわ…だって、ありえないもの…」
と叫びながらも、例の部屋に引きずり込まれる
◯ダイエットスクール[D]医療室
拘束具のついたベッドに無理やり縛り付けられる
注射器を持っている医者が闇の中からすぅ~と現れる。
医者「言ったでしょ…ルールは絶対、ここから出て行った人で目標を達成しなかった人はいないって…」
と言って注射する…
薬がじっくりと入っていき失神してしまうカヤ子
医者「じゃぁ、この人は処分しておいてね…」
薄れる意識の中で見えるマスクを取った医者は、冒頭のスーツの男だった
作品名:悪夢のダイエット教室 作家名:楮原一登