シロクロモノクローム
第四話:わかっている事
「えー」
「えーっていわれても、わからない物はわからん」
「わからないのに仕切ってるんですか?」
「わからないから仕切ってるんだ」
ぼくが露骨に残念そうな顔をしているのを、クオリアさんは無視する。
「それじゃあ、いつからここにいるんですか?
ほかにだれかいるんですか?
ご飯とかどうしているんですか?」
あきれたような表情でクオリアさんはため息一つつく。
「質問ばかりだな。だから、解らないことを説明することはできない」
でもな、クオリアさんはそう付け加えてこう言った。
「でも一つだけ、俺がこの世界について解っていることがある――この世界では」
クオリアさんは、なにか聞き取れない言葉を発すると、
なにもなかった空間に突然、ポンッと椅子が現れた。
その椅子に腰掛け、クオリアさんは言う。
「イメージが具現化する」
作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景