小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

シロクロモノクローム

INDEX|31ページ/46ページ|

次のページ前のページ
 

第三十一話:超危険因子



「何でこんな場所にいるのか以前に、ここがなんなのかすらわからん」
クオリアさんははきはきと元気よくそう答えた。しかもなぜか自信満々に。
カジ君は戸惑った様子でぼくを見る。仕方なくぼくも、
「目が覚めたら、ここにいたんです」
と答えた。
カジ君は凍りついたように動かなくなり、その顔から大量の汗が、まるで滝のように流れた。
「ん? どうしたんだカジ。顔色悪いぞ?」
クオリアさんはカジ君に尋ねる。カジ君微動だにせず。
「えーっと、い、いろいろとありがとうございましたータスカリマシター」
飛んで逃げようとするカジ君の尻尾を、クオリアさんは掴んだ。
カジ君はまるでリードがついた犬のような状態になった。
「おいおいカジ。そんなに急いでどこへ行こうってんだ? もうチョイ話をしようぜ」
カジ君は顔を真っ青にしている。
「俺たちゃ本当になにも知らないんだ。なんか知っているなら教えてくれねえか?」
「い、命だけは取らんでくださいッスーー!」
カジ君はばたばたと羽を動かして、必死に逃げようとじたばたする。
クオリアさんはカジ君の尻尾をつかんだまま、ひとつため息。
「おまえ、殺そうと思っているなら、デバックなんてしねえよ」
カジ君の動きが止まる。
「なんでもいいんです。知っていることがあったら教えてくれませんか?」
ぼくもカジ君に頼み込む。カジ君はどうしたらいいのか判断しかねないという顔をした。
悩みに悩みに悩みあぐねた後、カジ君は決心したように口を開いた。
「えーと、とても言いにくいんスが、お二人はこの世界における、いわゆるひとつの超危険因子ッス」

作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景