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シロクロモノクローム

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第二十九話:体育会系男子



制限時間を後10秒残して、ぼくの初めてのデバックは終わった。
「やっぱり。ナナ、お前はすげえよ」
クオリアさんは感嘆の声を上げ、拍手をした。
ぼくはなんだか、複雑な気分だった。
さっきのクオリアさんの言葉を、頭では理解していた。
けれど、どうしても、うまく飲み込めないでいた。
ぼくは倒れている翼竜のほうを見る。今のところ、これといって変化はなし。
「まだ、なにも起きませんね」
「まああせるな。あと少ししたら目を覚ます」
「襲ってきたりしませんか?」
「まあ、話せばわかるさ」
仕方ないので、ぼくは翼竜が起きるのを待った。
1分くらいたったあと、翼竜はゆっくりと目を開けた。
緊張が、ぼくの体を縛り付ける。
「おい、ドラゴンの坊ちゃん。調子はどうだ?」
クオリアさんは倒れている翼竜に話しかけた。
翼竜は、目をパチパチと、数回まばたきをして、口を開いた。
「あ、あれ? 俺、何でこんなところにいるんスか?」
体育会系の男子だった。翼竜の威厳ある姿なのに、体育会系男子だった。
あっけにとられているぼくを尻目に、クオリアさんは話す。
「ついてなかったな坊ちゃん。お前、ちょっとバグってたんだぜ」
「マジっスか!?」
「ああ、マジマジ」
体育会系男子な翼竜は、やっちまったーと呟きながらうなだれた。
なんだか、あまりのテンションの変化に、ぼくはついていけなかった。

作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景