シロクロモノクローム
第二十三話:とりあえず説明がほしい
しかし、探すと言ってもどう探すのだろう。こんなだだっ広いこの世界を、何が変わったかもわからずに。
クオリアさんはどうやってぼくを、この世界から見つけ出したのだろうか。
そういえば、タギングについても解らないことだらけだ。
クオリアさんはいつタギングしていたのだろう? なんで椅子はバグになって、スケートボードとぼくの出した木の棒はバグにならないんだろう? そもそもバグってなに?
説明の圧倒的欠如。それに伴う置いてけぼり感。ぼくの脳は疑問だらけでパンク寸前だった。
そんなぼくの心を知ってか知らずか、クオリアさんはまたブツブツと呪文の様な言葉を発する。スケートボードの後ろ側にエンジンがついた。
きっと、今のタイミングを逃すと聞けなさそうだ。
「クオリアさんって、いつタギングしてるんですか?」
「ああ、そう言えば言ってなかったな。俺はお前と違って指がないからタイピングできないだろ? だから音声入力にしているんだ」
「さっきの呪文みたいなので、クオリアさんはタギングしているってことですか?」
クオリアさんは、確かに解らなければ呪文だよなと笑って頷く。
そして、そうだな。と独り言を言って、クオリアさんはぼくを見る。
「これからちょっと危ない所にも行くから、もうちょっと詳しくタギングとこの世界について説明しておこう」
作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景