シロクロモノクローム
第一話:ぼくは全てをあきらめた
ある日、気がついてしまったんだ。
自分がなにをしても、世界は全く変わらない。
ぼくがなにを言っても、人は変わらない。
ぼくがなにをしても、世の中はよくならない。
ぼくがどう思っても、なにも変わらない。
きっとぼくがこの世界からいなくなっても、世界は変わらず周り続ける。
そんなことに、気がついてしまった。
だから、ぼくはこの世のすべてを諦めることにした。
すべてを諦めると、不思議とぼくの心は安らいだ。
なぜ今まで求めていたのか、求めればつらくなるだけなのに。
周りを見渡す。皆求めてばっかりだ。
人から評価されることを求めたり、
理解されることを求めたり、
愛されることを求めたり、
その他色々。人に、世界に求め続けている。
そして、それがかなわないと怒ったり、悲しんだりする。
なんてばからしい。なんて自分勝手なんだ。
つい前まで自分もそうだったと思うと寒気がする。
世界はぼくなんて見ちゃいない。
だから、ぼくはすべてを諦めた。
作品名:シロクロモノクローム 作家名:伊織千景