アインシュタイン・ハイツ 105号室
四月七日
もうすぐ、新学期が始まる。こちらに来てからの一年間は、あっという間に終わってしまったように思う。まあ、まさか、たかが一年かそこらで再び面倒くさいだけの引っ越しをする羽目になるとは思わなかったが、そこはそれ。心機一転ということで頑張ってみよう。……とりあえず、まだ開けていない段ボールをどうにかするか。
それにしても、時間の流れのはやいこと。せっかく長い春休みを満喫してやろうと思っていたのに、引っ越しだ片づけだ実家に帰省だ連絡だとバタバタしていたら、もう四月だ。私の三月は一体どこにいってしまったんだろう。逃げたのなら、追いかけたりはしないけど、気が向いたらまた戻ってきてくれればいい。それまでは、ここで、新しい生活にゆっくり慣れていくことにする。と思いこんで逃がしてやる。来年こそ覚悟しとけよ、三月。
さて、それでは明日は大学に行く用事があるので、銭湯にでも行って寝ることにしようか。確か、ここにもシャワーはついてたはずだけど、行ってみたかったんだよね、銭湯って。広くて大きい風呂なんか、合宿とかで入っただけかな。そして、しばらくは、この付近を歩きまわって色々見てみよう。去る三月のせいで引きずり出された四月って、なんだかのんびりしていて割と暇だし。
作品名:アインシュタイン・ハイツ 105号室 作家名:いまのじ@失踪中