パワーガール
男はだいぶしんどそうにゆっくりと飲み干そうとしていた。あたしの方を見てギョッとした顔を浮かべる。あたしは平然とぐいぐいと飲んでいるからだ。焦った男はペースをあげる。バカだ。そんな度数の高いお酒は一気に飲むものじゃない。でも、男の努力は報われず、あたしの方が先に飲み干した。「飲み切っちゃいました。これ、美味しいですね。」と笑顔で言うと、男は顔面蒼白になっていた。まさか、店で一番強いお酒を平気で飲み干すなんてと愕然としている。そして、「な、なんで。」と呟いた。
「あたしが勝っちゃったので、ユカをお持ち帰りさせていただきますね。」と満面の笑みで言ってやった。隣でユカが万歳をしている。あんた何にもしてないだろう。
男はプライドを傷つけられたのか、何かを言い返そうとした。が、そのまま立ち上がってトイレへ駆け込んで行った。きっと吐くんだろう。そりゃそうだ。いくらあたしでもあんなお酒飲み干せるわけがない。じゃあ、なんで飲み切ったのか?答えは簡単。ただの桃の天然水だったから。あ、桃の天然水ソーダの方だ。本日2回目、御愁傷様。
「シローちゃん、ありがとう。成功したよー!」