Mission!! 第1話~第7話
リックが資料をテーブルの上に広げた。そこに書かれてあるのは彼女の軍経歴だ。
「軍曹はイギリス陸軍SAS所属後、フランス外人部隊にも所属し、ウクライナに渡り爆破処理の教官として陸軍に雇われていますね。ここはこの経歴を生かして、是非お願いしたいと思うのですが・・・。」
「・・・・報酬は?」
「申告のままに」
「考えとく・・・」ベンは背広のポケットから何かを取り出しと、テーブルの上に広げられた資料の上にそれを置いた。
「携帯電話だ。自由に使っていい。世界中どこででも使える日本製の優れものだ。いい返事を待っているよ。」
「・・・・・・・」ベンとリックは立ち上がると、玄関に向かって歩きだした。
ふとベンは立ち止まり、もう一度部屋の中を見渡すと、そこにあったカーテンを手に取った。
「サラ、君のインテリアセンス、なかなかいいんじゃないか?特にこのカーテンの色とソファの色合いがマッチしていい感じだ。」
「Thank you.」サラはソファに座ったまま、短くそう答えた。リックはそんな二人の会話をいぶかしい表情をしてみていた。
「しかし、部屋全体に火薬の匂いがする。それが唯一のマイナスかな。」
ベンジャミンとリックは部屋から出て行った。サラはソファから立ち上がると、カーテン越しに立ち去っていく二人の後を目で追っていた。そこから見える二人は、リックがなにやらベンに質問をしている様子だった。
『きっと私とベンとの関係を聞いているに違いない・・・・。』
2台の車が去っていくのを見届けると、テーブルの上の資料を引っつかみ、隣の部屋に通じるドアをあけた。そこには黒光りした数多くの武器が並んでいるのが見えた。
無造作に置かれた机の上のパソコンの隣に、ベンからの資料を投げると、その資料は立てかけられたフォトスタンドにぶつかり、パタンっと音を立てて写真が倒れた。
それを手に取るサラ。ベンと一緒にいたフランス外人部隊当時の写真・・・。
「せっかく普通に過ごそうと努力してるのに・・・・」深いため息をつくサラだった。
作品名:Mission!! 第1話~第7話 作家名:Rachel