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八峰零時のハジマリ物語 【第二章 007】

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「零時くん、じ、実は……あの……こう言うと、信じてもらえるかどうか、わからないのだけれど……でも、本当のことだから、話を聞いて欲しいの、ダメかな?」
 舞園は、『下から覗き込むように』という『素晴らしい角度』からの聞き方をした。
 か、かわいい。
《い、いいね!》
 お前まで言うな、シッダールタ。
「お、おう。俺で良ければ。でも、俺なんかで良いのかよ? 怖くねーのかよ、お前?」
「ううん! そんなこと無い! そんなこと無いよ! むしろ、零時くんじゃなきゃダメなの!」
「えっ?」
「あ、いや……その……と、とにかく話を聞いてくれるかな?」
「お、おう」
《おう、おう、青春してるね~零時くん》
 う、うるせー。
「実は、その……簡単には信じられないかもしれないけれど、実はわたし……幽霊に取り憑かれているみたいなの!」
「!?」
 一瞬、沈黙の空気が包んだ。

「ご、ごめんね。い、いきなり変な事言ったよね? 言ったよね? あ、あの別に、その宗教の勧誘とかそういうのじゃないから……その、えっと、あの……」
「もっと詳しく聞かせろよ……舞園」
「えっ?」
 これって、やっぱり……。
《ああ、おそらく『第一相談者(ファースト・コンサルター)』だな》
「いいの? 零時くん? こんな変な話、聞いてくれるの?」
「いいも何も……舞園はそれを相談しに来たんだろ? 話くらい別にどうってことねえよ」
「あ、ありがと」
 舞園は俺があっさりと話を聞いてくれることが意外だったようで、少しビックリしていた。
「じ、実は、わたし一週間くらい前から変な夢を観るようになってて……」
「夢?」
「う、うん。その夢って言うのが……」
 と、ここで「始業ベル」が鳴った。
「わわっ。始業ベル! ごめんなさい、零時くん」
「いいって。俺は授業サボっても大丈夫だから。それより話聞かせろよ、舞園」
「れ、零時くん……」
「?」
 舞園は、目を大きく開き、少し顔を赤くして戸惑っているように見えた。
「? どうした舞園? 顔、赤くして」
「れ、零時くん。い、意外と積極的なんだ、ね。ちょっとイメージと違っててビックリ……」
「えっ?」

「コラーーー!」
 すると、階段から大きな声を上げて遊馬が高志を連れて上がってきた。
「よっ、零時。あ、舞園さん、はじめまして~」
「ど、どうも」
「高志っ!」
 すると遊馬が、零時と舞園利恵の間に入り、
「はい、そこまでー! 零時、授業遅刻だよ! さあ、行こう!」
 そう言うと、遊馬は俺の手首を掴み、強引に引っ張っていった。
「わわっ! お、おい、待てよ、遊馬」
「待たない! ボクは待たないよ!」
 そう言うと、遊馬はさらに強く握っている手に力を込めた。
「わ、わりぃ、ま、舞園。とりあえず、今日、放課後にまた教室に来てくれ。話はその時に……な~~!」
 と、俺は遊馬にすごい力で引っ張られながら、舞園にそう告げた。
「あ、はい、わかりました~!」
「れ、零時! そんな約束……ボ、ボクが許さないんだから~!」
「何だよ、零時。やっぱ友達だったのかよ、水臭いな~、そういうこと早く言えよ。ところで……俺たち友達だよな?」
「……」

 遊馬も、高志も、相変わらず「欲望」に忠実で、もう入院のことで気を遣うことは無くなったようで、それは俺にとっては少し安心した部分ではあった……が!
 その分、いつもどおりの「面倒くささ」もまた元に戻ったようで、これから「女の子の相談を受ける」というシッダールタの協力に対して、俺は、先行き不安になっていた。

《いや~、やっぱ人間界っておもしろいね~》

「……」

――放課後、改めて俺は舞園利恵と会って相談を受けた。