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世界を支配する方法  其の四

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俺:「それをこれから俺にやる……と?」

A:「はい。それが、これから見せる『動画』になります。この『動画』は今、見せている『マナの水から電気が起こる説明の動画』が入っています。これを見れば『水から電気が起きる仕組み』がわかり、それは『疑う余地の無い仕組み』ということが理解できるでしょう」

そうして、俺はその「動画」を見せられた。

そこには、この「マナの水」がどういうものか、「電気が起きる仕組み」がどういうものか、ということを説明しており、同時に、その仕組みを実験で見せるのだが、その実験もカメラを止めずにノンストップで映していた。なので、どこにも「動画をカット」するような仕掛けはなかった。

そして、その動画で映し出された実験は、説明している男の理論どおりに進行し、そして今、俺が見たようにその動画の中でも電気を作り出すのに成功していた。

俺:「す、すごいな。でも、こ、これが本当のことであれば、それってつまり……」

A:「はい。フリーエネルギーです」

俺:「!?」

A:「大まかに話しますが、この『マナの水から発生する電気の仕組み』は、動画の中の男の説明どおり、『この空気中に存在しているエネルギーを集める・吸収すること』が『肝』です。このエネルギーは私たちは『真空エネルギー』とも言います」

俺:「真空エネルギー……」

A:「ちなみに、この『真空エネルギー』は『空気』が電気を起こす原因では無いという意味も込めてこの名称としています。つまり、『空気中から取り出すエネルギー』ではなく『真空中から取り出すエネルギー』ということです」

俺:「つまり、それって、空気のある地球だけの話じゃなく、宇宙でも同じってこと……なのか?」

A:「そうです。さすが、察しがいいですね。そういうことです。これが『宇宙すべてに共通する唯一無二の法則』です」

俺:「宇宙すべて……」

A:「はい。本来、エネルギーとは『作り出す』ものではなく、身の回りの『真空』から『吸収する』ものなのです。そうして『吸収したエネルギー』を『放出』する……ただ、それだけです」

俺:「シ、シンプルだな」

A:「はい。宇宙の法則とはシンプルなのです。これがわかれば、あとはその法則を『応用』するだけです。それが、今、目の前で起きている『水から取り出すやり方』だったり、直接、身の回りからエネルギーを吸収する装置で取り込むやり方だったり……まあ、様々です」

俺:「もし……もし、それが本当なら、どうしてこの『エネルギー装置』は普及してないんだ?」

A:「本当にわからないですか? フリーの記者をやっているあなたなら……わかるんじゃないですか?」

俺:「えっ……?」

A:「『フリーエネルギー』……確かに便利ですよね。だって自分の身の回りにあるものから取り出すだけなんですから。もし、そのエネルギーを取り出す装置を各家庭に置きさえすれば、電気代は無料(タダ)で使えるということになります。そうなるとどうなると思いますか?」

俺:「ど、どうなる……?」

A:「すいません。言い方が悪かったですね。『フリーエネルギーが一般に普及して困るのは誰でしょうか?』……これならどうです?」

俺:「『フリーエネルギーが普及して困る奴ら』……? そりゃあ……」

俺:「!?」

A:「……出ましたか?」

俺:「現在のエネルギー関連企業……か」

A:「理由は?」

俺:「エネルギーが各家庭で作られることになると『発電施設そのもの』がいらなくなる……つまり電気を供給する必要が無くなるので『発電事業』は不要になるということか」

A:「まあ、そうです。しかし、もっとシンプルに言うと、こうなります……」

俺:「?」

A:「お金と権力が無くなる」

俺:「なるほど……『既得権益』か」

A:「そうです。そして、この『既得権益』とは、つまり『下層階級から利潤を奪う権益』のことです。シンプルに言うと『奴隷システム』ということ」

俺:「確かに……そうだな」

A:「では、ここで質問です。この世の中を支配しようとしている『新世界秩序(NWO)』は、ただの『陰謀論』『都市伝説』だと感じますか?」

俺:「!?……う~ん」

A:「この『現代社会』が、『人を支配する』という構造ではなく、『個人一人一人がより良い暮らしを送るため』に動いていると、あなたは本当にそう感じますか?」

俺:「そ、それは……」

否定できなかった。

何故か? そりゃあそうだろ。

目の前で「フリーエネルギーの存在」を知って、改めて、今の現代社会を考えたとき……、

「あまりにも矛盾・異様さが際立った」

――何なのだろう、この気持ち悪さは。

A:「さて――それでは、まずこの『エネルギー利権の真実』について、さらに掘り下げてお話していきますね」

俺:「あ、ああ……」

俺は、初っ端から「自分の中の常識」を吹っ飛ばされたのだが、これは「ほんの序章に過ぎない」ということを、この後、知ることとなる。