小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

世界を支配する方法  其の四

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 


  「世界を支配する方法」


【其の四】


――話は唐突に始まった。

A:「この世界は『ある組織』によって、ほぼ計画通りに『世の中の仕組みづくり』を行ってまいりました。そして、現在、その計画は完成間近となっています」

俺:「計画?」

A:「はい。その計画とは『人類の統一支配』です。もっとわかりやすく言うと『NWO(ニュー・ワールド・オーダー)』……つまり『新世界秩序』です」

俺:「はは、それってテレビで聞いたことあるよ。いわゆる『陰謀論』『都市伝説』ってやつだろ?」

A:「はい」

俺:「まさか……これから話す『リーク情報』ってのは、その『陰謀論』『都市伝説』のことじゃないだろうな?」

A:「ご明察のとおりです」

俺:「あんた……俺の家に侵入してまでして渡したい情報が『陰謀論』『都市伝説』って、一体、何考えてるんだ? 頭、おかしいのか?」

A:「いいえ。おかしくありません。というより、あなたの今のその『反応』……いいですね~」

俺:「何が、だよ?」

A:「『陰謀論』『都市伝説』というワードに対して、その『生理現象』に近いほどの『拒絶反応』『無思考反応』……そのあなたの反応を見れば、いかに『組織の洗脳』がほとんどの人間に及んでいるか、ということがよくわかります」

俺:「はっ? 洗脳? 勘弁してくれよ。オカルトな話なら別でやってくれ」

A:「はっはっは。オカルトの話ではありません。『ただの真実』のお話です」

俺:「おい、いい加減にしろよ。それなら……真実っていうのなら、その『証拠』は持っているんだろうな?『証拠』が無けりゃ、それはただの『妄想話』に過ぎないぞ」

A:「もちろん。『証拠』はあります。資料や写真もありますが、わかりやすいのは『動画』でしょう。これを見てください」

Aは、そう言うとポケットから『透明のフィルム』と『中身(水?)の入ったペットボトル』を取り出した。

フィルムには、何かの『銅線』のようなものがつながれていた。

A:「あ、すみません。コップをお借りできますか?」

俺:「コップ? は、はあ」

俺は、Aの注文どおり、うちで使っているコップを渡した。

Aは、そのコップにペットボトルの水? を入れ始めた。

俺:「す、すいません。ペットボトルの中身は水ですか?」

A:「はい。水です。ただし、これは『圧をかけた水』で……通称『マナの水』といいます」

俺:「?……マナの水?」

そうしてAはコップにその「マナの水」というものを入れたあと、そこに『透明のフィルム』についている『銅線』を中に入れた。ちなみに『銅線』の先には四角形の銀色の板がついている。

すると、『透明のフィルム』から映像が映りだした。

意味が分からなかった。

つっこみどころが満載なので、どこからつっこんでいいのかわからないくらい……意味がわからなかった。

A:「では、早速、その『証拠』となる動画をお見せしま……」

俺:「ちょ、ちょっと待て―い!」

あまりにも淡々と進めるAに、俺は当然のつっこみを入れた。

A:「はい?」

俺:「いや、『はい?』じゃなくて……どうしてこの現象についての説明をしないんだよ?」

A:「現象?」

俺:「そうだよ。このペラペラの『透明のフィルム』がどうして『携帯電話の画面みたいに映像を映し出したのか?』、そして、『そもそも電池も何も……電気を供給するもの自体がないのに、どうしてテレビのように映像を映し出すことが出来るんだ?』……て言うより、何が一体起こってる?!」

俺は、捲くし立てて一気にAに疑問をぶつけた。

当然だろう……今、目の前で起こっている現象は、もうこの時点で「一般常識のレベル」を超えているのだから。

A:「ああ、まず『透明フィルム』に関してはある有名な某フィルム企業が開発したものです。これはだいぶ前からあったものですので、まあ、知っている人は多いと思いますが……」

知らねーよ……そんなの。

A:「つまり、これは『超薄型テレビ』と思っていただければ結構です。まあ、テレビの受信機能はこれには付けてませんので厳密には『超薄型映像出力機』といったところですかね。まあ、そんなところです」

俺:「おいおい、ずいぶん軽く言ってくれるな~」

A:「はあ……まあ、これは大したことないですから」

確かに。

問題は、この『超薄型テレビ』を出力させている『電気』……つまり『エネルギー』をどこから取り出しているかだ。

俺:「ま、まさかとは思うが、この『超薄型テレビ』につながっている『銅線』の先にあるその『水』から電気を供給している、なんてことはないよな……?」

A:「さすが! お察しがいい……そのとおりです」

俺:「そんなバカなっ!」

俺は、興奮して思わず立ち上がった。

A:「もちろんどんな水でもいいわけではありません。この『圧をかけた水』……『マナの水』だからこそ、ですがね」

俺:「ど、どういう理屈だよ……これって物理法則とか反してないのか?」

A:「ああ……反してますよ」

俺:「か、軽いな~」

A:「物理法則というのは、あなたたち『人間』が作りだした『仮説』に過ぎません。そして、その物理法則には『間違い』が多くあります。その『証拠』がこの今の状況です。一般の多くの方は『物理法則に反することはすべてオカルト』という風に思考を停止させてただ批判するような『洗脳』を施されています。言っている意味がわかりますか?」

俺:「あ、ああ」

つまり、俺の最初の『陰謀論』『都市伝説』といって否定したことを言ってるんだな。

A:「あなたたちの作りだした『法則』に反しているが、しかし『現象』として、それは今、あなたの目の前で繰り広げられている。つまり、あなたの今、見ているコレは『真実』ですよね?」

俺:「ま、まあ……」

A:「もちろん、もしかしたらこれは『手品・マジック』か何かで『からくり・トリック』があるかも……ということも考えられるでしょう。どうですか?」

俺:「そうだな。これだけでは中々信じてもらえないだろうな。俺だって、今、目の前の現象を見せられてもまだ半信半疑だしな」

A:「そう。今のあなたのような目の前で起こっている現象でさえも、あなたの中での『非常識レベルが高い現象』だと、人は皆、うかつには信じられないのです……それだけ、あなたたちの『洗脳』は重症である証拠とも言えるのですが」

俺:「まあ、それはそうだと思う。否定はしない」

記者をやっている職業上、その辺は少し理解できる。

「『先入観』は『真実』を見逃す最大のフィルター」だからな。

A:「ありがとうございます。そこで私たちは考えました。その『洗脳』を逆に利用して『正常』に戻ってもらおうと。つまり、『洗脳』によって『常識外のこと』を『疑う・否定する』ような状態になっているのなら、逆に、いろんな『真実』を突きつけて、これ以上『疑う余地の無い状態』まで持っていく……そうすれば『観念』して、信じざるを得ない状況を作り出そうと。実際、このやり方は功を奏しました。今のところ、このやり方で『100%の確率』で『洗脳』が解けています」