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アイスクリーム

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久々に徹夜した。
思うがままに 原稿用紙に万年筆を走らせていると、キミと選んだ奇怪な模様のカーテンに明るく陽が当たり始めた。
ひと息つこうと、万年筆を置き、両手を挙げ、椅子の背凭れに体を預けた。二、三度頚と肩の辺りがこきこきと音をたて、血流が動き始めたような痺れを心地良く感じた。
瞼を閉じ、両手を頭の後ろに下ろすと、ひととき睡魔に襲われたらしく、ぐらんと頭が後ろに倒れた反動で目を開けた。

「おはようにゃん」
まさか、そんなに眠ったとは思えないほどの時間に、キミが部屋にいる。
いや、これは夢の途中だ。たぶん……。
それにしても、急に暑くなった。まだ季節は、夏というには早いのだけれど、差し込む陽射しは、すぐに部屋の温度を上昇させる。
だから、まだ虚ろな意識の中で、キミを思ったのだろう。
ボクは、背筋を伸ばし、頚をゆっくりと傾けたり、捩ったり、そんな視野の中にやっぱりキミがいた。気持ちの温度が急上昇していくボクが居る。

「そんなところで寝ちゃったの?体、休まりませんよ」
「いらっしゃい。さっきまで原稿を書いていたからね」
「では、徹夜ですか」
「まあそんなところ。来たこと、気付かなかったよ」
ボクは、うっすら汗をかいたシャツの衿に手をかけた。だが、此処で脱ぐのも躊躇われた。
カーテンを開け、窓サッシを開けると、重たるい空気が入り込んできたが、部屋の空気が動いて気持ちよく感じた。

ボクは、別室へ寄り、チェストからシャツを取り出すと、洗面所へと行き、顔を洗い、シャツを着替えた。
リビングに戻ると、キミは、お菓子のリボンで吊るしてあるてるてるぼうずを揺らしていた。
「つっついちゃダメだぞ」
「いじめてないよ。コレ 効いてるのかなぁ」
雨降りに効いても効かなくても、キミの代わりのようにボクには大事なものだ。
もし、キミと喧嘩して 憎らしかったらコイツを突いてみようかな……なんてことを考えてしまったボクは、少し笑えたが、キミにはわかるまい。
作品名:アイスクリーム 作家名:甜茶