Blue (仮)
0.プロローグ
僕は青が好きだ。
ただ一言で青といっても空のように鮮やかな水色、深海のように深い群青色、虹を飾ってくれる藍色など、様々な人が様々な色を連想するだろう。僕はその全部が好きなのだ。
全部が好きだからまとめて僕はそれらを青と呼んでいる。ただそれだけだ。
僕の青好きはただ単純に青が好きというわけではないだろう。何故なら幼いころはオレンジや赤などの明るく暖かい色を好んでいたからだ。
それではただ成長の過程で好みが変わったのではと思うかもしれない。そうであるかもしれないが、そうでないかもしれない。
それでも好きと言えるのは青というものに執着に近いものがあるからであろう。青色を見るたびに僕の中に楽しくて悔しくて嬉しくて悲しい矛盾した感情が今でも湧き上がる。
この感触を忘れない限り僕はあの時のことを忘れないだろう。いわば青は僕にとって思い出の欠片なのだ。
これから僕がここに綴るのはちょっとした僕のお話であり、絶対に忘れてはいけないものであり、誰も経験しないであろう僕だけの物語だ。