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死人

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「いや、俺の友達でさ、戸澤という奴がいるんだが、そいつから聞いたんだ」
「なんでそいつが知ってるんだよ」
 彼は言いにくそうに少し黙ったあと、あいつはストーカーだったんだと言った。
「あいつはお前のお姉さんのことが好きで、もう殆どストーカーと同じ状態だったんだよ。それで、お姉さんの後ろを追ってたらしいんだ。そして、事故に出くわした。君のお姉さんが死ぬのを見たんだよ」
 色々と話が唐突過ぎる気がする。
「いや、でもさ、見たと言っても、生きてるわけだから。今日も顔を合わせてるよ。そいつの見間違いか、嘘を言ってるんじゃないのか」
 姉がストーカーに追いかけられていたという話というのも、聞いたことがなかった。
 戸澤なんて奴自体が嘘で、末西君が何か、たちの悪いいたずらを仕掛けようとしているのではないかという気さえした。
作品名:死人 作家名:咲会伶俐