死人
そんなにしっかりした証拠を掴んだ僕を、そのまま生かしておく理由がない。
このまま何も起こらないなら、知らないふりをしてやり過ごすのが最善策だろう。
「何か確かめる方法はないのかなあ」
「いや、やめとくよ」
ほんと危なそうだし。
彼はつまらなそうだったが、それはそれで納得というか、我慢することにしたようだった。
その後は、いつものように、どうでもいい感じの話で過ごした。
しばらくして、今度はほんとに宿題があることを思い出して帰ることにした。
外はまだ陽があった。
今日は怖がらずに帰ることが出来そうだった。
アパートの階段を降りるのも楽だ。
よく見ると階段は、あちらこちら錆びついて、塗装も剥がれているものだから、壊れてしまいそうで、その事の方が怖かった。
勿論杞憂だったのだけど。