死人
次は休日で、僕は昼過ぎから末西君の家に居た。
「何かあった?」
彼には昨日の苦しそうな表情は無くて、どちらかと言うと興味津々という感じだった。
「昨日の帰りに、コンビニの前で出くわした。何もなかったけど」
友達のお姉さんが化物かも知れないなんて話、なかなか出会う話ではないから、面白そうに感じるのも別段変な話ではないと思う。
死んだお姉さんの話なんて少しも楽しくないけど、死んだ筈のお姉さんがまるで何事もなかったかのように振舞っているなんてのは、十分面白い話だ。
僕自身、半分以上信じてない。
でも、怖がっている。
普通に心霊映像とか、怪談とかで怖くなるのだ。自分とは全く関係ない離れた世界の話でも怖いのに、うんと身近な空間での話が、怖くない筈がない。
嘘でも本当でも、十分怖い。