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私は雨の中、もうすっかり暗くなった悲しい街の中を歩いていた。何時から歩いているのかは定かではない。今が何時なのかも分からない。
 はてここは何処なのだろうか。目的地があるのか、無いのかも分からない。しかし道は一つだから、進んでいれば目的地に辿り着くやも知れぬ。

 左右には幾ばくかの無機質な建物が無言で佇んでいるが、灯りは無い。
 虫の足のような、長く黒光る街灯の灯も点いていたり、いなかったりする。
 その灯に照らされたむき出しコンクリートの建築は墓のようだった。辺り一面墓で満ちている。
 私の他には誰もいない。
 墓と雨だけが街に充満している。
 皆何処へ行ったのだろうか。
 もしかすると皆あの墓の中で死んでいるのかもしれない。上手くいけば木乃伊になるかもしれないが、ここは雨がよく降る地域だから、きっと腐るに違いない。
 とろけた汁がそのうち戸口の隙間から漏れだすだろう。そして雨が汁を洗い流す筈だ。
 腐敗臭が戸口の隙間から漂うだろう。そして雨が匂いを掻き消す筈だ。
 もう、そうしているのかも知れない。
 そのうち四肢や頭蓋が自重で肉体から引き千切れて鈍い音と共に床にぶち撒けられるだろう。汁が飛んで、匂いは一層強くなるだろう。そして雨がそれを掻き消すだろう。
 もう掻き消しているかも知れない。
作品名: 作家名:咲会伶俐