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和尚さんの法話 『 輪廻転生 』

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それが分かったら、本当の仏教学も分かってくるし、
お経の道理も分かってくる。
仏教学ばっかりになってくると、これはちょっと罔
い。
諦かな道理が分からない。
教えばっかりだと想像の部分が分からないから罔い
ですね。
その逆に、観法は出来てるが、その裏付けになるお
教のことを全く知らない。
則ち危しとなってるけど、最後のもうひとつという
ところが掴めない。
やはり教と観と両方ですね。
車の両輪鳥の両翼といって、大変失礼だけどもこの
方々は欠けてるんじゃないかと。
だからおっしゃることが間違ってる。
こういう人の言うことを真っ当に信じてしまうと、
間違った人が大勢増えてくるわけですね。
それを和尚さんは案ずるとおっしゃいます。
和尚さんがここまでお話しが出来るのは、観法を体
験してるからこそ、言えることなんです。
想像で言ってるのではないということです。

「有見を起こす事須弥山の如くならんも 空見を起
こして増長慢を抱かじ」
須弥山という大きな山があるんですね。
須弥山の如くならんもというのは、強い強い有見を
主張する。
そういう考えに凝り固まってる。
間違った考えを起こすと必ず増長慢が起こる。
それなら須弥山の如き有見のほうがいいと。
だから空とか、無我とか、それと有ですね。
或いは霊魂。そ
の二つを比較した場合は、本当のものを教えられな
いのであれば、まだ有のほうがましだと。
つまり霊魂不滅をあっさり認めるほうがどれだけ有
益かわからないと。
こういうことです。

有も法も一般の人は、まず信じてもらって、そして
仏教は無我を説いてるのだったら何で輪廻するのか
なと、そのときに初めて疑問が起こって来るのです
ね。
それでいっぺん無我ということを聞いてみないとい
かんなと。
空と輪廻、これはいったいどういうことですかと。
こうなってくるわけですね。
あのミリンダ王という人はその疑問を抱いたんです
ね。
霊魂不滅は一方では認めてるわけです。
輪廻ということは認めてる。
ところが仏教は、無我を説くから。
そこの綾ですね。
その微妙なところを聞いたんですね。
だから我々は、霊魂不滅だけでいいんです。
地獄があり、極楽があるんだと。
六道はあるんだと。
善業悪業によって、その六道の何処かへ生まれる。
それじゃ具合が悪いから、浄土門は阿弥陀様におす
がりして極楽へ往生しましょうと、こういう教えで
すね。
ほんとうは、空なんか入ってこなくていいんですね。
だから法然上人は、一枚起請文にあるように、一文
不知の尼入道のように念仏申せとおっしゃってるの
は、そのへんですよね。