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リンドウノミチヤ
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novelistID. 46892
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KYRIE Ⅲ  ~儚く美しい聖なる時代~

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「俺は、あんたに出会った事を何ひとつ後悔してないよ」

 統也はきっぱりと言った。後に、刑務所に収監された統也を史緒音が訪ねた時の事だ。

 その、からりとした強い笑みを彼女は黙って見ていた。男は続けた。

「もしあんたの気が向けばさ・・・と言っても俺は十年はここにいるだろうし、これからどうなるかも分からないんだが・・・。
 ここを出たら、一度でいいから会ってくれないか?つまりだな、一緒に茶とか、飲みに行かないか?」


 彼女は少し間をおき、彼の方は見ずにポツリと言った。


「いいよ」


 統也は驚いて史緒音を見つめた。
その滑らかな頬は気のせいか、少し赤らんでいる様にも見えたのだが勿論彼女は否定しただろう。


 彼の耳に、微かな言葉が響いた。


「私の、側にいてくれる?」





 彼らの次の物語はこのようにして始まった。月の女神の身体の奥に奇跡の様に宿った命のことを聞かされた統也は生まれて初めて泣き笑いをしながら言ったものだ。


「全てを失ったと思っていたが違った、俺は全て手に入れてたんだな」