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リンドウノミチヤ
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novelistID. 46892
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KYRIE Ⅲ  ~儚く美しい聖なる時代~

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 統也は自分の前に現われた光景に目を奪われた。

 目の前に青空があり、空を背景とするかのように廃園が広がっている。彼の息遣い以外は生き物の気配すらない、そこは空中庭園だった。
 時が止まったかのような静寂の中、彼は注意深く歩みを進めた。廃園は行き止まり、眼下には蔦や木の枝に絡まった城壁と鬱蒼と茂る森があった。

 ふと、彼は空を見上げた。頭上十メートル程先に塔がそびえ立っており、何かが動いた。それは陽光に煌めいて輪郭は漠然としていた為大きな白い鳥に見えた。

 手負いの天使。

 一瞬の幻覚に彼は目を見開いた。









 次に統也が見たのは公爵夫人が自ら飛翔し真っ直ぐ地獄へ落ちていく光景だった。彼は城壁から大きく身を乗り出し、彼女の体を済んでの所で宙で受け止めた。そのまま細い体を抱きかかえると夫人の頭をかばいつつ城壁に生えていた蔓に足をかけた。蔓は大きくしなり二人を引きずったまま剥がれ落ちた。

 彼らの身体は城の出窓に打ちつけられた後更に下の木の枝に絡まり数回バウンドし、そして地面に墜落した。