太郎!
「あいつら…またこの島にゴミを捨てて、何が明るく楽しい町を作ろうだ!人が来たならワシ達は立ち退けと!」
「このままじゃこの島も…おしまいじゃあ…」
「止めてよおじいちゃん!」
舞台はとある小さな小さな、今にも波に飲まれてしまいそうな島で。
「そもそも何故ワシらは何もしていないのにいじめられにゃあならんのだ。」
「それはの、昔、ワシらの先祖が奴等の先祖にこっぴどくやられたらしゅうての。」
「でも何で僕たちもいじめられるの?」
「それはな、坊主、向こうの先祖とこっちの先祖が姿形は似ていても、全く別の生き物だったからだ、今は向こうの方が勢いが強い、ワシらは今どうしようもない。」
海を隔てた町の進んだ技術と開発に今や飲み込まれてしまおうとなっている小村で。
「でも私、ここ町になるのやだよ!」
「分かってる、分かってるんだよ皆、それはそうだ。」
「なんとか出来るものならしたいが、今のワシらの力は衰えた。奴等の方が余程好戦的で数が多い。」
「でも…」
「良いな、嵐が過ぎ去るのを待とう。奴等も反応しなければ立ち去る。」
どうしようもない状況の中で、一人立ち上がった若者がいた。
「皆、俺、奴等に会いに行ってくる。」
「坊主、今のは面白い冗談だ、誉めてやるからとりあえず座れ。」
「嫌だ!おっちゃん!俺戦いなんて嫌いだけど村が無くなるのはもっと嫌だ!そんな奴等任せの方法より、せめて戦わなくとも奴等と一度話してみたいんだ!」
そう言って若者は村の皆が集まった大きな家を飛び出した。
これは、普通とは違う『アルモノ』の勧善懲悪物語。
◇◇太郎!◆◆