異世界転生物語
第1章
わいわいと賑やかな中に田舎から出てきたばかりの青年が一人いた。
「おおお、俺の居たとこって、けっこう田舎だったんだなぁ」
彼の名前はシロ・アラヤ。15歳になった彼は、学院に通うために村から出てきていた。その彼の頭の上には、ガルフと呼ばれる、額に模様と耳が長いのが特徴の子犬のような容姿の魔獣が乗っていた。
「お!あれが魔道具屋か。行こうぜ、タマ」
「くー」
タマとはシロの頭の上に乗っている魔獣の名前である。
魔道具屋に入るとシロは次々に魔道具を手にした。
「初めて見る物ばっかりだな、お!これ、いいな。これも」
彼は嬉々とした目で魔道具を手に取り、手にしたものすべてをカウンターに乗せ店主に値切り交渉を始めた。
「店主、これをすべて買うから5割引でどうだ」
「どうだといわれましても」山のように詰まれた魔道具、それを半額で売れというのだ、驚くに決まっている。困った様子で「これでも良心的な値段なのですが」と、尋ねる
「じゃあ、いいや」
「へ?」
「これとこれを頂戴」
「は、はい。他の商品はよろしいんで?」
店主は戸惑いながら尋ねると「ちょっと待って」と言って、シロは先ほど買った魔道具をいじっていた。
「ほい、できた。これと他のもの交換してくれません?」
そう言って、先ほど買ったものを組み合わせたものを店主に見せる。
「あの、お客さんは技術者かなにかで?」
「ちょっとこういうのいじるのが好きなだけですよ」
「ですがすばらしい腕ですな。これなら技術者として引く手あまたでしょう。面白いものを見せていただいたのでカウンターの上の商品3割引きでお売りしましょうどうです?」
「いいのか?じゃあ買った!」
シロは路銀をほとんど使ってしまうことに気づかず、お金を渡していた。
「お客さん、旅の途中だよな、だったら森には気をつけなよ」
「なにか、あるのか」
「最近、魔人がでたそうなんだ」
店主からそんな話を聞き、店をあとにした。
(魔人、ねえ)