異世界転生物語
プロローグ
彼はわかっていた。彼はまた、この世に生を受けたのだと。
たった今、彼はこの世に生まれたのだ。
彼がこの世に生を受けるのは、これで6度目だ。彼は死んではまた新たな生を受ける、これを繰り返していた。今まで培ってきた記憶もある。そして、死んだときの記憶も・・・
彼はなぜか毎回20歳前後で亡くなっている。
(毎回のことだが今度こそ長生きしてやる!)
そう、強く願っていた。
(まずはあれだな。この世界のことを知ること、だな。)
この世界といったのはこれまでの経験上ここが、彼にとって、異世界の可能性が高いためである。剣と魔法の世界、悪魔のような異形のもの、超科学文明なんて世界も、もう経験済みだ。驚きはしない。だが、危険の多い世界ならまた20歳前後で死ぬかもしれない。そのためこの世界のことを詳しく知る必要がある。
(そういえばまた男か・・・ 一度くらい女になってみたい・・・かも)
シロと名づけられた彼は生まれながらにして魔法を扱うことができた。以前、転生した先で、魔法は習っていた為、少しであったが扱えた。この世界での魔法の扱い方も似ていたため、魔法は難なく扱えたのだ。
走り回れる年齢になると、村の者もシロのことを特別視するようになった。
剣を振り、魔法を扱い、魔獣を手懐けていた。そんな子供を恐ろしいと、思う者もいたが、大半の者は将来に期待していた。