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和尚さんの法話 『善因善果 悪因悪果』

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死んでも命があるんだ、助かったと。
これは考え直さなければいけないなと思ったんですね。
だから仏教を求める第一歩は、あの世を認める。
あの世があるんだということを信じるというところにか
かってくるわけです。



「正念」

正念というお話を少し致したいと思います。
正念場という言葉がありますが、仏教では正念という言葉
があります。
一番大事なときを正念場というのですが、とくに浄土門で
は正念場というのは、今息を引き取るというそのときを正
念場といいます。
その正念場という臨終のときにお念仏を称えることが出来
たら、今まで積んであった罪を全部阿弥陀様が消して下さ
るんですね。
そして極楽へ往生できるという一番肝心要のときなんです
ね。
だから正念でないと困るんですよ。
是から死んでいくというときに、傍に善知識が居ったらあ
あしなさいこうしなさいと、お念仏を称えなさいといった
ら念仏を称える分別ができる精神が無いと極楽往生できな
いんです。
顛倒、錯乱、失念してたら何を言っても耳に入らないから、
正念でなければいけないのです。
仏教の正念は、臨終する、これから死んでいくというその
ときが仏教でいう正念なんです。

仏教が如何に正念ということを説いてるかということを、
次にお話ししたいと思います。
いろんな人が正念にて往生すると。
これは特に法然上人が亡くなって、その法然上人の伝記を
書いて残したいというので作ったその中に出てくるお話し
です。
法然上人がいろんな人に会っていろんな教化をして、そし
てその人たちが臨終正念で終わってるということがたくさ
ん出てくるのです。

その一つに、
法然上人が船に乗っていたときに、舟が近付いてきてそ
の船に遊女が一人乗っていた。
その遊女が言うには、世の中にはいろいろな職業がある
が、私は何でこんな職業して生きていかなきゃならんの
か。
なんで自分だけがこんなめにあうんだというわけです。
自分では分かってるんですね、こんな罪な仕事をして後
生はいったいどうなるのだろうと。
心配してるわけですね。
法然上人曰く。あなたのようなことをして一生を生きて
いたら決して軽い罪ではない。

若し、他に生きる道が見つかるのであるならそれはもう
遊女というその仕事は辞めなさいと。

然しながら、どの職業にもつくことが出来ないならば、
そして一所懸命に仏道に入るということも出来ないとい
うならば、仕方が無いから今のままで、ただ念仏を称え
なさいというわけです。
阿弥陀如来はそのような罪人のためにこそ本願をお立下
さったんだと。

本気で信心も起こせないし、遊女も辞められないという
のならば、ただ念仏を称えなさいと勧めたんですね。
念仏に一所懸命になって、何もかも忘れてしまいなさい
と。
遊女は歓喜の涙を流し、舟を離れた。

きっとあの遊女は実行するだろうと。
極楽往生するだろうということを他の人に語ったんです
ね。

それから後に京都へ帰ってきて、その遊女は深い山に入
り、隠遁生活に入った。
やがて臨終を迎えて念仏を称え、臨終正念にして極楽へ
往生したということを聞いた法然上人は、そりゃするだ
ろう、そりゃするだろう、あの遊女なら臨終正念で終わ
るであろうと言うたということです。

これは極楽往生で、因果応報ということはほとんどあり
ませんけれども、問題はあの世ですよね。
極楽もあり、地獄もあるということを、これを100%
信じて頂きたいと思うのです。