選挙へ行きましょう?
「なぜ、選挙に行かないのですか。よろしければ、理由を聞かせて下さい。」
理由を応えれば、彼らはその「理由」は正当なものでないと主張し、オレを論破しようとするだろう。どこかの誰かが言ったいた言葉の劣化コピーを用いて。
オレには、彼女・彼らの主張を論破するつもりはない。別に、信念を持って選挙に行くことを否定するつもりはない。
しかし、彼女・彼らの信念というものは、彼女・彼ら自身のものとはいえない。借り物であり、複写物にすぎない。
そんな彼女・彼らと話をしても、意味のある議論とはなりえないだろう。
自分の頭で考えていない彼女・彼らには、オレの言ううことを理解することもできないだろう。
それでいて、議論をしたがる……。
他人を屈服させたがる……。
自分の優位性を誇示したがる……。
所詮は、他人のフンドシでとっている相撲なのに。
作品名:選挙へ行きましょう? 作家名:宇都 治