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忙しい人のための短編小説~かよわき絆~

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「今から腎透析の病院の手筈を取っている時間はない。外科医を読んで腹膜ガン流で薬を除去する。もう皮膚が死んでる」医者がそう言った。

医者の必死の処置はかなわず、彼女はその晩亡くなった。

一人の人間がなくなる上、この惨めな様は一体何なんだ。得体のしれない何かにぶつけたい気持ちだった。

 それからというものの、僕は誰の声も届かない世界に入っていった。

 一か月が経った。

 三か月が経った。

 引きこもっていた僕も街に出ることができ、渋谷の街をフラフラと歩いていた。

センター街や109の見える交差点をぶらぶら歩いた。

若者たちが賑わう街は多くの人が渋谷に合った服装で街を歩き、あるものは茶髪のロンゲを掻き分け、あるものはアクセサリーを売る外国人の前にたむろい、外国人はミネラルウォーターを片手に商品を見せ、そして高校生と思われる複数男女がしゃがみながら話をしていた。

109に入る女性は奈美が好きだったブランド品を身に纏い、彼氏の腕をつかみながら、微塵も劣等感を感じさせないほどスマートに歩いていた。そんな街を歩き、そして半蔵門線に繋がる地下へ降りた。
 
ただ奈美の事を考え一人の人間としても、生きていく事すらできない奈美を想った。そんな奈美の言葉が頭の中で何度も甦った。

"私とブランドは繋がっているの"

“結局何も教えられなかったな”涙が頬をつたった。純粋な涙だった。


                              (了)