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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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こぶた・たぬき・きつね・ねこ

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その一



 ある里山の少し奥に入った所に、こぶた・たぬき・きつね・ねこ、の仲良しの動物達が住んでしました。
 四匹は仲良く遊びながらいつも歌っていたのでした。

 ♪こぶた・たぬき・きつね・ねーこ・こぶた……♪

 でも楽しい日々が過ぎ去るのは早いもの。
 気が付けばみな成長し、特にコブタさんはすっかり大きくなってまるでオオブタみたいです。

 ♪こぶた・たぬき・きつね・ねーこ・こぶた……♪

 いつもの様に歌いながら歩いているとタヌキくんが不思議そうに言いました。
「あれ、おかしくない? ボクやキツネくんやネコちゃんは、大きくなってもタヌキ・キツネ・ネコ、だけど、ブタくんはもうコブタじゃ無いんじゃないかな?」

「そうよね、ブタさんはもうコブタさんじゃ無いわ」
 ネコちゃんは感心したように言いました。

 そのとき、キツネくんはニヤっと笑って。
「じゃあ、こうすれば良いよ」というと、ブタくんの頭をげんこつで思いっきり殴りました。

 ゴツン!!

「痛いなあ、何をするんだい、キツネくん?」
 ブタくんは殴られた頭をさすりながら半べそをかいています。

「だって、ブタくんは友達のままでいたいでしょ? ほら、頭にタンコブが出来たじゃない? これで、ブタくんはコブブタくんだよ。みんなも友達でいられる様に、ブタくんの頭を殴ろうよ」

 タヌキ君も感心したように言いました。
「へぇそうかぁ、キツネくんってあたまが良いんだね。じゃあ」ゴツン!!

「あいたたた……」

「そうね、じゃあたしも」ゴツン!!

「あいたたた……」

「さあみんなで歌いましょ?」

 ♪コブぶた・たぬき・きつね・ねーこ・コブぶた……♪

「あっはっは……」
 ブタくんも涙を流しながら歌いました。

     ・
     ・
     ・

 でも、毎日まいにち殴られるブタくんは堪りません。
 ある日、殴られる前に言いました。
「ちょ、ちょっと待って。やっぱり毎日殴られるのはイヤだよ。何か他の方法はないのかなぁ」


 キツネくんはニヤニヤしながら言いました。
「そうかぁ、随分ガマンしたけど、やっぱりイヤなのかぁ。でも、もう友達ではいられないよ。友達のコブタくんは、仕方が無いから、またどこからか連れてくるよ」
 タヌキくんもネコちゃんもクスクスとナイショで笑っているみたいです。

「じゃあ、友達じゃないブタさんはどうなるの?」
 ネコちゃんが首をかしげて言いました。

「決まってるじゃないか、友達じゃないブタさんは、ボク達のエサになるのさ」

 そう言うと、三匹はあっという間にブタさんに襲い掛かり、きれいさっぱり食べてしまったとさ。

 めでたし、めでたし。


         おわり