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ぎーくおぶじえんど
ぎーくおぶじえんど
novelistID. 47644
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訳あり彼女

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白富士台中学の3年に進学した、北野まさるはクラスでも浮いて誰からも相手にされてない
西園寺洋子に一目惚れをした。
ルックスは良いのだが、体育の授業に出席したことが無く、一年中学校の時間のほとんどをエアコンの効いた保健室で過ごす彼女は、ズルをしているとしてクラスメイト(特に女子)から嫌われていた。
男子生徒も最初彼女を教室で見かけた時は声をかけるなどしていたが、初夏から秋にかけては長期に渡って学校を欠席する、体育の授業には一度も出ない、小学校時代の話等、不可解な点が多く近寄り難い存在であった。

まさるは、数ヶ月前日体調が悪くなり保健室を訪れた。
その時ノックもせずに入ったのは失敗であったが、洋子がベッドのカーテンを
閉め忘れたまま着替えをしようとしており、運良く下着姿を目撃してしまった。

悲鳴が上がり、「こっちに来ないで!」という声とともに枕が飛んできて
まさるの顔面に直撃した。
「ごめん!」と誤り、すぐさま保健室の外に出てドアを閉めるが、下着姿の洋子が目に焼きついてしまいドキドキを抑えるのが必死なまさるであった。
ノックをして再度保健室に入り、まさるが謝ると洋子は許した。

その日から現在に至るまで、まさるは時々仮病を使っては無理やり保健室に通い、洋子と少しずつ会話するようになって二人の仲が少しは親密になったと自覚している。
いつから彼女に好意を寄せるようになったのかは分からないが、今日こそ洋子に気持ちを伝えようとまさるは意気込んでいた。

保健室のドアをノックしてから保健室に入り、いつものように
ベッドのところまで行って、いつものようにまさるが洋子に話しかける。
最近話題のテレビ番組、芸能人、近所の洋菓子店・・・・。

そして頃合を見計らって、まさるがついに洋子に気持ちを伝える!

「あ、あのさ・・・。俺、西園寺さんと保健室で会って、話するようになってからいつも学校に来るのが楽しいんだ。それで、いつからか分からないけど、俺、西園寺さんのことが・・・・・好きになったんだ!付き合って欲しい!」
「気持ちはすごく嬉しい。でも、私色々訳ありなの。私も北野君のこと好きだけど、付き合うのすごく大変だと思う。」

小学校のとき当たりから、ずっと友達がいないと聞いていたまさるは、洋子のことが少しおかしいと思ってはいたが
好きになってしまった手前、ひくことなく思いを伝えた。

「そんなの大丈夫さ!どんなこと聞かされても絶対に動じないよ!」
「ほ、ほんとに?私・・・すごく嬉しい・・・」
「西園寺さん・・・」

洋子の目から、恐らく嬉し涙と思われるものが一滴ポタリと顔を伝ってシーツに流れ落ちた。
どこからか「シューーーー」という音が聞こえてきたが、まさるは気にしない。

嬉しさのあまり、思考が青春の勝ちパターンに向かってロックされてしまった。
(こ、これって・・・いきなりキスまでいけるパターンだよな。)
目を閉じながら、口をタコのように突き出し顔を近づけようとしたまさにその時であった。

「あ、やばっ!早く逃げて!」

洋子の声が聞こえ、かなり素早い足音がして保健室のドアが開いてすぐに閉まった。
まさるは目を閉じていたために何が起きたかわからず、薄目を開けて洋子の姿を確認しようとした。

(あれ?西園寺さんがいない・・それに何か嫌な音が・・・)

「シューーー」という音が続いていたが、次の瞬間!

「ボンッ!」という爆発音がして、まさるの髪の毛は一瞬にしてちりちりになり、体に火傷を負ってしまった。
制服にも焦げ穴が空いている。
口から煙が出てしまっている。

(え、何?何が起きた?)

保健室のドアがゆっくり開く音がして、足音が戻ってくる。
洋子が保健室に戻ってきて、歩きながらまさるに言った。

「私、汗を拭いちゃうと、拭いたものが爆発しちゃう体質なんだ。汗だけかと思ったけど、涙もそうみたい。」

まさるは「え、ああ、うん、大変なんだね」と答え、そのまま倒れた。
薄れいく意識の中で、彼女と付き合うのは大変そうだけどがんばろうと思ったまさるであった。

作品名:訳あり彼女 作家名:ぎーくおぶじえんど