夜風荘☆青夜【弐】
秋に詠う①
【紅葉狩り】
ひらひらと 黒髪の上 落ちてきた
貴女に恋した 紅葉のかんざし
【木の実時雨の森】
葡萄色 橡(つるばみ)色に 柑子(こうじ)色
木の実ふるふる 森は満腹
※橡…ドングリの古称
柑子…ミカンの古称
【田園サロン】
いまどきの 娘ギャルに負けじ さえずるぞ
案山子の上の 稲雀たち
【ゆうやけこやけ】
夕日満ちて 帰ろ帰ろと 家路指す
トンボの群れが 空いっぱいに
【石に花さく秋の夕暮れ】
秋の神 竜田の姫は 粋な人
装い広げた 茜の暮雲(くれぐも)
※石に花咲く…実際にはあり得ないことの例え
竜田姫…秋の女神
【好奇心】
主なき 浮巣(うきす)訪ねる 色鳥の
ご用が気になり 群れる稚魚
※浮巣…アシの葉や茎、枯れ葉などで水面に作る水鳥の巣
色鳥…秋の小鳥の美称
【映し身】
我が身は月 あなた無くして 何とする
陽を浴びてこそ 輝くものを