黒い蝶「女蝶」
二人を説得(というか諦めた)した後、その後教室に行ってみたが、窓は開かなかった。廊下は無限にあるのでできる限り教室を回ったがどの教室の窓は開かなかった。
「なんでどの窓も開かないのー」
ここに来てだだをこねるのかよ。まぁ仕方ないちゃ仕方ないけど。
優奈の言うとおりなんでここに俺らが閉じ込められ理由なんて1つもないはず、なのに俺らだけとかマジ不公平・・・でもなかった。
優奈の先にいた俺は優奈の目を塞いだ。きっと優奈だったら泣き叫ぶだろう光景だった。
俺と太聖が見た光景は、俺らと同じ制服を着ていて廊下の端に一列に倒れている。
「ねぇ、何があったのー?」
優奈はどうやら俺らが動揺していたのが分かっていたらしく、俺の手をどける。
優奈がこの光景を見た瞬間、声が聞こえてきた、
「よーこそー!!我ラの廊下へー!おぉっと!?これはこれは、珍しいお方が迷い込んだねー!」
その声はサーカスにいそうなピエロみたいな声だった。
そして優奈を指さし、
「自分でお作りになった廊下なのに、まさかご自身でハマってしまったのですか!?」
と言った。その時は俺らは何が何だか分からず思わず「は!?」と言ってしまったのであった。
「おい!優奈!どういうことだ!まさか俺らをはめたのか!?」
しかし返事は、
「えぇぇぇーー!!私!?私がこの廊下を作ったの!?」
だった、じゃぁどういうことだとピエロ声に聞くと
「キキき、そういうことか。まだ蛹(さなぎ)なのですね、我が女王。いえ「女蝶」様。」
「女蝶」と言う言葉を聞いて俺ら三人は騒然とした、そして優奈は泣きながらどこかに走って行ってしまった。それを追いかけようとしたが、太聖が俺を止めた。
「追いかけてどうする!?俺らはあいつにはめられたんだぜ?行っても逆に俺らが殺されるだけだ!諦めろ!」
「うっせ!優奈はな、俺の友達なんだ!確かにあいつが女蝶なのはわかった!だけどそんな理由であいつを見殺しにしろだなんて・・・おれには耐えられねぇよ!いいか!俺は優奈の元へ行く!そしてあいつの最後を見届けるんだ!」
この時の俺はヤケクソに走った。そして優奈が一緒にいないせいか、無限廊下じゃなくなっていた。
そして校舎の中を走りまわった。が、優奈が中々見つからない。外に出ようとしてもでれないので窓が開くか確かめてみたら、開いた。そして優奈が下でグチャグチャになるのも見た。多分飛び降りたのか、内臓が飛び散ってる。
俺はその時、悟った。もう手遅れなのだと、だから俺もそこから飛び降りた。
「校舎から飛び降りですって。」
「いやだわぁ、まだ13歳ですって。若いのにもったいないですわ。」
「飛び降りた原因は分かんないそうよ。」
「男女3人で、何があったのかしら?」
そして二度と黒い蝶は人の前に現れなかった・・・
(お終い)