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一条 陽香流
一条 陽香流
novelistID. 46467
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Thin Ice

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2 章 「憂鬱」



 あの日省吾に誘われるまま、店で働き出した。

 元々酒も女も嫌いじゃない。ゲームのような感覚で俺はそれなりに楽しんでいた。

 売り上げの金額とかあんまり興味がないが、省吾に褒められるのが面白くて

 気が付けば1年が過ぎようとしていた。

 仕事も大学もそれなりに楽しんでやっているはずなのに、

 最近妙に感じる違和感?疎外感?

 言葉にするのは難しいが、イライラする。

 そんなある日、最後の客を送って店に戻ると省吾しか店にいなかった。

 「お疲れっす。あれ?もうみんな帰ったんですか?」

 「おお、お疲れ。明日から連休だろ。とっとと奴等帰った。」

 久し振りに省吾の無防備な笑顔を見た。

 そうだ、明日から3日間店は休みだ。

 「休みなのに憂鬱そうだな?」

 「え?そんな風に見えますか?」

 「明日は学校も休みだろ?俺の部屋で飲まないか?」

 今まで省吾に誘われた事が無かったし、あの日以来個人的な話すらした覚えがない。

 驚いて省吾を見ると

 「お前最近何か変だぞ。まあそう言う時は飲め!俺の部屋なら潰れても大丈夫だからな。」

 と言ってまた笑う。

 俺この人のこの笑顔に弱いかも・・・

 誘われるまま、省吾の部屋に行き勧められるまま飲んだ。

 
作品名:Thin Ice 作家名:一条 陽香流