Thin Ice
「・・・好きだ。」消え入るような小さな声で呟いた。
「省吾さん」
俺は無意識で呼んだ。気が付いたら部屋を飛び出し省吾を探していた。
マンションのロビーで省吾の背中を見つけた。
夢中で駆け寄って後ろから広い背中に抱きつく。
「灯也?」
「俺の傍にいて欲しい。俺を省吾さんの傍に置いて欲しい。」
「灯也・・・約束してくれるか?」
「何?」
「俺と二人きりの時だけで良いから、意地を張らず素直でいて欲しい。出来るか?」
「・・・」
「お前が壊れそうなのが見てられないんだ。何があっても俺はお前を受け止めてやる
だから素直に俺にお前を預けてくれないか?」
「重たくならないのか?」
「お前なら受け止めれる。俺を信じろ。」
「省吾さん」俺は省吾の胸の中に顔を埋めた。
「ずっと抱きしめていてくれ。」
「勿論。離したりはしない。だから安心しろ、ずっとお前の傍にいるから。」