【ラッキーマン】次男
「五月蝿い。」
ああ、やっと静かになった。
「な…」
予想外の僕の返事に兄は言葉も見つからないようだ。
ちゃんと頭にしまっておきなよ。ものすごくレアな発言だよ。
この僕が兄に刃向かうなんてね。
兄さんが羨ましい。
強いし、勝ってばっかいるし、父さんたちにもいっぱい優しくされる。
僕はそれを見る係。
強いところを見て、勝ってばっかいるところを見て、父さんたちにいっぱい優しくされるとこを見る。
昔からこの係。
昔から、決まっていたこの係。
弟なんてあまりの兄のやり方に200年もの間姿を見せなかったこともある。
馬鹿なことをしたよ…兄に何をしても無駄だというのに。
だから僕は刃向かわなかった。
無駄なことはしたくなかったから。
作品名:【ラッキーマン】次男 作家名:麺子。