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宇宙を救え!高校生!!

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「イイエ。人類程度のシンクロ率が後二つでは、最高レベルのシンクロ率にはとうてい到達出来ません。極めて低い確率ですが、我々が始まりの特異点へ到達するまでに、マスターのように高い知能とシンクロ率を兼ね備えた有機生命体を後二体、発見しなくてはならないのです」
 高い知能と言われてちょっと嬉しかったが、今はそれどころではなかった。

「それって、どれくらいの確率で発見出来るのかしら」

「およそ五千万分の一です」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ハルが答えると少しの沈黙があってから浩二がつぶやいた。

「五千万分の一って・・・それは不可能ってことじゃないか・・・」

「イイエ。確率はゼロで有りません。マスターが私と遭遇する確率もそれに近いものでした」

 ハルは再び、僕を強く見つめた。

「総ては必然、神の織りなす運命の糸は、必ずや私たちを、まだ見ぬ二体の有機生命体の元へと導いてくれるはずです!」

 と電子生命体は、電子生命体とは思えぬ人間らしい発言をした。

(ひょっとすると、電子生命体は意外とロマンチストなのかも知れない)

 そんな僕のどうでもいい考えをよそに、莉子が次の質問をする。

「私たちがその始まりの特異点まで行って、穴を閉じる事に成功する確率はどのくらい有るのかしら?」

「向かう先々で闇の生命体の反撃に遭うこと想定すると・・・およそ一億分の一です」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ハルがそう言うと、また少しの沈黙が続き、その後で隼人が震える声で質問した。

「まさかさぁ、ゲームオーバーになったら、死ぬってことじゃないよね?」

 ハルは答えた。

「一個体としての遺伝情報及び、個体を形成している総てのマテリアルは消滅するでしょう」

「それって死ぬってことじゃん! 仮に、途中でケームオーバーにならなかったとしても、オレらが暮らすこの銀河から、始まりの特異点まで到達するまでに、寿命がつきてみんな死んじゃうんじゃないのー」

 隼人は早くも半泣きだった。

「この銀河系から始まりの特異点までの距離は約四百億光年。通常の航法では有機生命体が生存したまま到達することは不可能でしょう。しかし、私たち電子生命体のテクノロジーは驚くほど短期間での到達を可能にします。それがワープ航法を進化させた『スーパーマクロドライブ航法』です。この航法では、空間の距離を縮める通常のワープに加えて、時間を早送りすることでワープ航法の数千倍の距離を一気に移動することを可能にしています」

「すげぇ! ワープにタイムマシンを組み合わせたみたいなもんかぁ」

 泣きながら笑っている隼人は、なんとも情けない表情になっていた。



作品名:宇宙を救え!高校生!! 作家名:葦藻浮