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Daybreak 〜その先にあるもの〜

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合宿も無事に終わり、夏休みに突入した。コンクール前だから毎日部活。休みなんてものはない。毎日練習して合奏しての繰り返し。美也子も少し焦り出したようで練習する時間が増えていた。
その日、合奏を終え休憩モードでみんな個人個人好きなことをして過ごしていた。美也子は指揮者が立つ指揮台のすぐ横に座って暗い顔をしていた。「おい、美也子。そんな暗い顔してどうしたんや?」顧問の高崎が美也子に話しかけていた。それでも、美也子は黙ったままうつむいている。「美也子?」と高崎がもう一度声をかけた時、美也子がみんなの前で急に泣き出した。すると部員みんなが、「美也子、どうしたの?」「大丈夫?」「何かあったの?」「先輩大丈夫ですか~?」と声を揃えて美也子に心配の目を向けていた。その時の私の感情は文章では表現しづらい。ただ、何で泣くの?泣きたいのは私の方なのに。みんな美也子の心配?私と美也子の問題には気付かないの?泣いた者がち?様々な感情がせり上がってきて心配する部員をよそ目に私は部屋を抜け出した。もちろん、私が消えたことに気づく子なんて、いなかった。非常階段でクラリネットを吹きながらも心はざわついていた。嫉妬、怒り、妬み、卑怯者、泣かないとみんな痛みには気付かないの?ニコニコして我慢してたら問題がなくて優秀な子?泣きたいのはこっちなのに、もっともっと痛いのは私なのに!
気付いたら私は泣いていた。誰もいない非常階段で。今頃美也子はなぐさめられてるんだろうなと、ふと考えた時”私は絶対に他人の前では泣かない。同情なんていらない。我慢して我慢して、限界を超えても我慢して。明るくていつもニコニコしている優等生になりきろう”一瞬にして、私の心は冷えた。涙も止まっていた。「大丈夫、私はまだまだ大丈夫」そう自分に言い聞かせた。鏡を見て泣いたことに気づかれないかしっかりチェックして笑顔で部屋に帰った。そして、「美也子、さっきどうしたの?」と心にもないことを聞き、辛さを訴える美也子の話をうんうん、と聞いていた。ただの形だけ。話なんて何にも覚えていない。