かっぱにまつわるエトセトラ
屁の河童
とある人間界の書物で、『への河童』という物語を読んだ。
怖すぎる。人間、怖すぎる……。あんなに怖いことを考え付くなんて。
世界から戦争が絶えない理由が分かった気がした。
って、偉そうに言ってみたけど、河童の世界も争いが絶えないんだけどね。
先週も向かいの家に住む三郎さんと、三軒隣の治平さんが言い争いをしていた。
人間の女性に一番魅力を感じるのは、胸かお尻かと言う内容だ。
結局この争いは周囲の河童も巻き込み、村を二分する争いへとなりかけた。
長老が、「いや、うなじだろう」って言ってくれなかったらどうなっていたことか……。
おっと話がそれた。屁の河童についてだ。
人間はこの意味を間違っている。
人間界の辞書を見ると『なんとも思わないこと。するのがたやすいこと』と書いてあった。
たやすくないから。カッパが屁をするのって大変なんだぜ。
俺なんて最近ようやく綺麗に出来るようになったばかりなのに。
俺の曽祖父の死因は屁の失敗だし。
でもばれたら、人間達になんて言われるか。すべての辞書を書き換えないといけなくなるし、間違いなくその費用は我々河童に来るだろう……。下手したら詐欺罪で訴えられるかもしれない。考えただけで恐ろしい……。
あと、屁をするのは大変だから、あまり屁をしないようにはしているんだけど、最近は食の変化のせいか、屁をする回数が増えて来た気がする。
そのせいか、カッパの死亡理由第2位に『屁の失敗』が初めてランクインされたとニュースで言ってたもんなぁ。
つまり、食事には気を使う必要があるわけで……。
「って、由美ちゃん、待って! 説明がまだ終わってないから。お願いだから最後まで聞いて。本当に、由美ちゃんの料理が不味いから残したわけじゃないから。あぁ、待って! 出て行かないでってば!!」
作品名:かっぱにまつわるエトセトラ 作家名:毛利 耶麻