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すれ違う親子

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世の中は不景気の真っ只中。
学卒の就職率も60%を切ったと先日のニュースで言っていた。

つまり、10人に6人は就職出来ている計算だ。
まさか、自分が残りの4人に入るとは思いもしなかった。

別に大手企業狙いだったわけでも無い。
親の希望で家から通えるところと言う制限はあったが、
それでも家の周りには数百と言う企業があった。

履歴書だって何枚も書いた。
面接だってたくさん受けた。

それでも結局、私の就職は決まらなかった。

親には迷惑を掛けっぱなしだ。
大学の学費を出して貰ったばかりか、実家から大学に通っていたため、
毎食御飯を作ってくれた上に、小遣いまで貰い、パソコンまで買ってくれた。
他にも自動車の免許代、卒業旅行の旅費、上げたらきりがない。

私の家はかなり裕福な家庭だ。それは私自身自覚している。
だからと言ってこれ以上、親に迷惑は掛けられない。
私ももう22歳。立派な大人なのだから。

私は決心した。
バイトでもなんでも良いから、自分の力でお金を稼ぎ、
一人暮らしをして生きて行こうと。

さっそく親にその決意を話す。
親は優しく、
「ずっと家にいて良いんだぞ。お前がお金の心配をすることない」
と微笑んでくれた。

親は隠しているつもりだが、私は知っている。
私が実子で無いことを。
ある時、偶然戸籍を見て知ってしまったのだ。

実の子でも無い私を、本当の子のように育ててくれた2人にはものすごく感謝している。
でも、だからこそ家を出たかった。これ以上私のことでお金を使って欲しくないのだ。

内緒で私はアルバイトの面接を受けた。受かってしまえばこっちのもんだ。

「それでは面接を始めさせてもらいます。まずご質問ですが、この性別・座敷童子と言うのはなんでしょうか」
「はい、私は座敷童子でして、戸籍にもきちんとそう記載されています。やはり履歴書には正しい情報を書くべきだと思い、そう記入しました」

残念ながら今回は不合格だった。
でも、これで挫けるわけにはいかない。
親に負担を掛けさせないためにも、早く仕事を決め、一人暮らしをしなければ。

作品名:すれ違う親子 作家名:毛利 耶麻