エイユウの話~冬~
「金髪の使ったもんなんざ捨てたってのか・・・っ!」
キサカは先ほど捨てた水を再び呼び起こすと、その水で真新しい机やベッドを次々と旋回させる。それらの角が壁に当たって、壁がどんどん壊れだす。
我に返ったラジィは、果敢にキサカの説得にかかる。
「落ち着きなさいよ!」
「落ち着けだと?どの状況見て言ってんだよ!」
「留守にしてるだけかもしれないじゃない!部屋を片すことだってあるわ」
ラジィのその説得ほど、説得力のないものはなかった。まったく汚れていないこの空間で、つい先ほどまでいたとは到底思えない。ただそれは、キサカを燃やす油となっただけだった。
「いつも綺麗じゃない部屋で生活してる男が、出かけ際にベッドメイキングなんてするかよ!」
もう当のベッドは振り回されてメイキングされていた形跡はまったく見られないが。負けじとラジィが返す。