エイユウの話~冬~
あれ?最近、キースを探しに行けって言われてない気がする。
キースとは、キートワースの愛称のようなものだ。それはさておき、嫌なくらい毎日毎日探しに行かされていたはずなのに、ここ一週間、まったくいわれていなかった。それどころか、出席の際に彼の名前すら聞いていない気がする。
友達と集まる時だってそうだ。男女四名で集まることが常ながら、最近は男子が一人になってしまっている。なぜキースが来ないのか、みんなで話し合ったことも、一度や二度ではなかった。
補足事項として言うと、彼が欠席の連絡をしているという選択肢はない。なぜなら欠席をしていようと名前は呼ばれるはずだからだ。
そんなことを考えているうちに、鐘が重く響いた。授業終了の合図である。そこで彼女は賭けに出た。ラザンクールは勢いよく挙手して進言してみる。
「すみません。最近キートワースが学校にすら来てないみたいですが、呼びましょうか?」
普段なら「お願いします」、風邪などのときは「うつされないように気をつけて」と、大体の返しは解っている。どう来るかによって、彼女の中で彼の容態を知ることが出来るのだ。もし「お願いします」だったら、自分たちに心配をかけた分も引っ叩いてこないとと、たくましいことまで考える。
しかし、導師から返ってきた答えは新しいものだった。