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将来の夢

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授業参観日。
教室の後ろに、ズラッと大人達が並んでいる
どの人が、どの子のお母さんなのかお父さんなのか、そんな事把握する必要もないけれど、どの大人も今日の為に力の入った服を来てきたと言う事は子供の目から見ても分かる。

「今日は、宿題だった『将来の夢』の作文を何人かの人に読んでもらいます。」
「は~い」
先生の言葉に、みんなの返事もいつも以上に元気がある。
テンション高し。
みんな当たる前のドキドキでいっぱい。
目立ちたい子は、ここで当たれば、一躍ヒーロー気分になれる事間違いなし。
目立ちたくない子は、何時もは信じていない神様に祈りを捧げ、当たって奈落の底に落ちないように縮こまっていたりする。

「では、まずは~七海(ななみ)くん」
「はい」
七海くんは、先生にあてられて、目がキラキラしている。
ヒーロー気分になりたいチームの子のようだ。
一呼吸し、七海くんは読み始めた。
「将来の夢。
僕の将来の夢は、いくつかあります。
まず、宇宙船のパイロットになって、宇宙から地球を眺めてみたいと思います。
でも、この夢が無理なら探偵もいいなとも思います。
ドラマみたいに、かっこよく犯人を捕まえてみたいです。」
そして、一呼吸置き満面の笑みで更に、読み続ける。
「でも、本当になりたいものは
……
なりたいものは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ジリリリリ……

べッドの横の目覚ましに手を伸ばし、重い体をのっそりと起き上がる。
「は~…夢かぁ。それも小学生の頃の夢なんて…」
社会人になって、2年目。
夏季休暇の初日に見た夢は、小学生の時の授業参観。
今年の休暇は、友達とも休みが合わず、先日…彼女に振られ、特に出掛ける予定なし。
たまには…と思い、今年の夏季休暇は実家に帰ってのんびりする事にしていた。
何年振りの実家だろう。
今朝見た夢の原因は、これにあるのかもしれない。

「…あの夢の続き気になるなぁ
宇宙船に乗るか、
探偵になのか、
でも…俺の本当になりたかったものは…
う~ん
なんだったけか?」
どうしても先が思い出せなかった。
自分の本当になりたかったもの…。

確かあの時の作文は、クラスの文集になったと思う。
実家に帰れば、母親が捨てずに保管しているはず。
そう考えると、実家に帰る楽しみが一つ出来た。

作品名:将来の夢 作家名:こまごめ