火付け役は誰だ!(九番以降)
△九番、戦いの火蓋は落とされた▼
目の前にいるのは正座した穂子。
「………」
「………」
あの洋服衝動買い事件後も穂子の外食しよう攻撃やどこかで座りたい攻撃を俺は完璧に回避して家に到着した訳だが。
「………むしろ笑えてくるぞ。」
目の前に広がるは黒焦げになった何かと焼け落ちた何か。
あえて例えるなら、何かの事故現場、はっきり言うがキッチンじゃないこんなの。
よくあるサスペンスの撮影現場だ、爆破された後の廃墟とかの。
「……さて、と。」
見たくもないが目に入ってしまう現場から無理矢理目をそらし、正座する下手人に視線を向ける。
「…検察側の俺としては執行猶予無しの三日間断食の刑を下すのに何の躊躇いも無いんだが。」
「ノォーッッ!待って待って!せめて被告側の意見も聞いてから判断して裁いして!というより裁判長は!?第三者の公平な視点を要求したいです!」
「俺が裁判長兼任だから却下。」
「もはやそれは独裁政治だよ…」
「帰ってきてキッチンが爆破されてたら独裁官にもなるわ罪人!」
「爆破する意図は無かったの!ただちょっと火力が高かっただけなの!フライパンは悪いことしてないよっ!」
「あぁそうだな、悪いことしたのはお前だもんな。なんで電子レンジ使わないんだオマエは。」
「ギャーッお願い止めてチャッカマンとガスボンベ向けて何する気!?」
「上手に焼けました☆」
「ミー丸焦げねーッ理解あるよーッ!」
「外はカリカリ中はジューシーにこんがり焼いてやるからそこになおれーッ!!」
「私ジューシーって言うだけの脂肪無いし大丈夫――ッ!!なおれと言われて焼きたてお肉みたいに素直になるやつがどこにいるかーッ!!!」
愉快な爆発音と共に、もはや取り繕えない程の焦げ跡が増えていく。
≡≡火付け役は誰だ!≡≡
作品名:火付け役は誰だ!(九番以降) 作家名:瀬間野信平