*レイニードロップ*
*さいしょの話*
雨の中を、傘も差さずに駆けていた。
制服はとうにぐっしょりと水を吸っており、べたりと体に吸い付いてくる。幾度となく水溜りを踏み駆けてきたスニーカーの中もすっかりびしょびしょだ。一歩踏み出すたびに水がまとわりつく心地悪さが絡みつく。
ここまで走って来た以上、引き返すわけにもいかないし、立ち止まった所でどうしようもない。さっさと家に帰って温かいシャワーを浴びるのが何よりだ。
駆ける先に見えた交差点。信号は、青が点滅を始めている。この横断歩道を渡ってしまえば僕の家はもうすぐそこだ。
間に合うだろうか。このまま走りきれば、なんとか渡りきれそうだ。
スピードを上げた横断歩道へ踏み出そうとした僕は、車道へ出る直前、視界の端に映った青に、思わず足を止めた。
僕は、雨の中で楽しそうに踊る青い妖精に目を奪われた。
雨の中を、傘も差さずに駆けていた。
制服はとうにぐっしょりと水を吸っており、べたりと体に吸い付いてくる。幾度となく水溜りを踏み駆けてきたスニーカーの中もすっかりびしょびしょだ。一歩踏み出すたびに水がまとわりつく心地悪さが絡みつく。
ここまで走って来た以上、引き返すわけにもいかないし、立ち止まった所でどうしようもない。さっさと家に帰って温かいシャワーを浴びるのが何よりだ。
駆ける先に見えた交差点。信号は、青が点滅を始めている。この横断歩道を渡ってしまえば僕の家はもうすぐそこだ。
間に合うだろうか。このまま走りきれば、なんとか渡りきれそうだ。
スピードを上げた横断歩道へ踏み出そうとした僕は、車道へ出る直前、視界の端に映った青に、思わず足を止めた。
僕は、雨の中で楽しそうに踊る青い妖精に目を奪われた。
作品名:*レイニードロップ* 作家名:古寺 真